T790M陽性NSCLC患者におけるアファチニブ・オシメルチニブ逐次治療の成績/WCLC2017

提供元:ケアネット

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公開日:2017/11/17

 

 EGFR T790M変異は、第1世代EGFR-TKI(ゲフィチニブ、エルロチニブ)における獲得耐性であり、その発現率は49~69%である。オシメルチニブの第I/II相AURA試験の結果などから、第2世代EGFR-TKIアファチニブの主要耐性機構もT790M変異であることが示唆されるが、その研究結果は十分ではない。

 オシメルチニブは、EGFR活性化およびT790M耐性変異の双方に選択的な不可逆的EGFR-TKIであり、第III相試験では、第1・第2世代TKIの1次治療で進行したEGFR T790M陽性の進行NSCLC患者の無増悪生存期間および全生存期間を有意に改善した。LUX-Lung 3、LUX-Lung 6、LUX-Lung7試験の後ろ向き分析では、アファチニブの前治療に続きオシメルチニブ治療を受けた患者の治療期間中央値は20.2ヵ月(95%CI:12.8~31.5)と長く、アファチニブ後のオシメルチニブ治療の有効性が示唆される。

 そのような中、オーストリア・OttoWagner Hospitalにおいて、単施設の後ろ向き試験が行われた。対象はアファチニブによる1~3次治療で3ヵ月以上の病勢コントロールを得たのち進行したEGFR変異陽性のStageIVの肺腺がん患者48例。平均年齢は65歳で、23%がアファチニブの前に第1世代EGFR-TKIの治療を受けていた。

アファチニブ前治療の有効性
 アファチニブで進行した48例のうち27例(56%)でT790M変異が発現した。総コホートでのアファチニブの客観的奏効率(ORR)は90%、そのうちのT790M発現患者では93%であった。総コホートでのアファチニブの奏効期間(DOR)は12.5ヵ月、T790M変異発現患者では13ヵ月であり、T790M発現との相関は見られなかった。

オシメルチニブの有効性
 上記T790M発現患者27例におけるオシメルチニブのORRは81%であった。オシメルチニブのDORは未達成であり、オシメルチニブで治療進行中の患者は11例(41%)であった。この試験における、アファチニブ・オシメルチニブ逐次治療の期間中央値は25.0ヵ月であった(95%CI:20~33)。

(ケアネット 細田 雅之)