好酸球性心筋炎の特徴、治療、予後は?

好酸球性心筋炎は致死性の急性炎症心臓疾患である。この疾患に関する大規模な症例研究や臨床試験は、これまでに報告されていない。米国カリフォルニア大学サンディエゴ校のMicela Brambatti氏ら研究グループは、過去のデータベースから組織的に証明された好酸球性心筋炎を系統的に見直し、好酸球性心筋炎の臨床的な特徴、治療および予後について調査した。Journal of American College of Cardiology誌2017年11月7日号に掲載。
好酸球性心筋炎のシステマティックレビュー、組織学的に証明された179例が対象に
本研究では、好酸球性心筋炎の原因となった状態(特発性、過敏性、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症、好酸球性症候群関連好酸球性心筋炎など)に応じて、組織学的に証明された好酸球性心筋炎の頻度、臨床的な特徴、診断に至る所見、治療戦略を明らかにすることを目的とした。著者らは、MEDLINEとEMBASEで2017年6月までに発表された好酸球性心筋炎に関する症例報告443例をスクリーニングした。続いて264例を同定し、組織学的に証明された好酸球性心筋炎で入院となった179例を主要な解析に組み入れた。平均年齢41歳、院内死亡率は22.3%で過敏性心筋炎が最多
平均年齢の中央値は41歳(四分位範囲:27~53歳)で、男女の割合は同様であった。小児(16歳以下)の症例は10.1%であった。受診時の主要な症状として、息切れが59.4%で、末梢血の好酸球増加は75.9%で認められた。左室駆出率(LVEF)の平均中央値は35%(四分位範囲:25~50%)。好酸球性心筋炎と最も高頻度に関連が認められたのは、過敏性心筋炎と好酸球性多血管性炎性肉芽腫症で、それぞれ、34.1%と12.8%を占めた。一方、特発性もしくは原因疾患を特定できないものが35.7%を占めた。ステロイドは77.7%の患者に投与された。一時的な機械的循環サポート(n=30)は16.8%の症例で使用された。院内死亡は22.3%(n=40)で、最も死亡率が高かったのは過敏性心筋炎によるものであった(36.1%、p=0.026)。正確な病態の把握、予後の改善には多施設レジストリが必要
報告バイアスの影響で、死亡率が高く見積もられている可能性はあるが、好酸球性心筋炎は急性期において予後不良であり、関連する病態は約65%の症例で報告されていた。著者らは、エビデンスに基づいた治療や院内死亡率の改善を図るには、この疾患に限定した試験や多施設のレジストリが必要であるとまとめている。(カリフォルニア大学アーバイン校 循環器内科 河田 宏)
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