うつ病診断後の小児および青年における12ヵ月間の治療経過の変化

提供元:ケアネット

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公開日:2017/12/18

 

 小児期や青年期のうつ病は、均一ではない。その治療パターンは、しばしば集団として試験されるが、個々の治療経過には変動がある。この変動を理解することは、青少年のうつ病における治療のギャップを特定することに役立つ。米国・ハーバード大学医学大学院のNina R. Joyce氏らは、うつ病の若者に対する精神療法と抗うつ薬治療の12ヵ月間の経過における不均一性の特徴について検討を行った。JAMA pediatrics誌オンライン版2017年11月20日号の報告。

 2007~14年の民間の保険請求データより、新規にうつ病と診断された18歳以下の若者を、診断後12ヵ月以上フォローアップした縦断的コホート研究。潜在的なクラスモデルは、診断後12ヵ月間の精神療法および抗うつ薬治療の集約尺度に適合していた。精神療法および抗うつ薬治療の類似パターンを用いて、クラス間のベースラインの健康状態、ヘルスケアの利用、健康アウトカムの変動を調査した。データの分析は、2016年6月~2017年3月に実施した。主要アウトカムは、精神療法および抗うつ薬の使用とした。

 主な結果は以下のとおり。

・コホートには、8万4,909例が抽出された。診断時の平均年齢は15.0±2.6歳、女性は4万9,995例(59%)であった。
・全体的に多かった合併症の診断は、注意欠如多動症が1万4,625例(17%)、不安症が1万2,358例(15%)であった。
・評価期間のいずれかの時点において、精神療法を受けた患者は5万9,023例(70%)、抗うつ薬治療を受けた患者は3万3,997例(40%)であった。
・明確な治療経過を有する8つのクラスが同定され、それを以下の4グループに分類した。
 ●精神療法と抗うつ薬治療を受けた3つのクラス:1万8,710例(22%)
 ●抗うつ薬治療のみを受けた2つのクラス:1万5,287例(18%)
 ●精神療法のみを受けた2つのクラス:4万313例(48%)
 ●未治療であった1つのクラス:1万599例(13%)
・最も多かったクラスは、精神療法のみを受けた3万5,243例(42%)であり、評価期間中の自殺未遂率(100人年当たり0.8人)、入院率(100人年当たり3.5人)が最も低かった。このクラスでは、事後評価期間中の自殺未遂率(100人年当たり0.5人)、入院率(100人年当たり1.3人)も最も低かった。
・精神療法と抗うつ薬治療を受けたグループの自殺未遂率は、評価期間中(100人年当たり4.7~7.1人)および事後評価期間中(100人年当たり1.5~1.7人)において最も高かった。

 著者らは「本研究対象では、若者の13%は未治療であり、18%は精神療法を受けず抗うつ薬治療を受けていた。治療の集約尺度では、精神療法と抗うつ薬治療を併用する有益な治療パターンをマスクしてしまった。潜在クラス分析は、同様な治療経過の患者をサブグループとして同定することができ、治療ギャップの特定に役立つであろう」としている。

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