Z薬として知られるゾルピデム、ゾピクロン、エスゾピクロン、zaleplonは、不眠症治療に用いられるベンゾジアゼピン(BZD)の代替薬として一般的に使用されている。Z薬は、しばしばBZDよりも安全であると認識されている。イスラエル・ヘブライ大学のNir Treves氏らは、Z薬と骨折、転倒、傷害との関連性を評価するため、システマティックレビューとメタ解析を行った。Age and ageing誌オンライン版2017年10月25日号の報告。
MEDLINE、EMBASE、ClinicalTrials.govを用いて、システマティックレビューを行った。該当する95%信頼区間(CI)を有する固定効果モデルおよびランダム効果モデルで、Z薬使用患者と未使用患者を比較した、プールされたエフェクトサイズを算出した。
主な結果は以下のとおり。
・Z薬と骨折、転倒、傷害との関連性について報告された研究を14件抽出した。
・Z薬は、統計学的に有意な骨折リスク増加と関連していたが、著しい異質性のエビデンスを有していた(OR:1.63、95%CI:1.42~1.87、I2=90%、83万877例)。
・同様に、転倒に関するオッズにおいて2倍の増加を示唆する傾向であったが、統計学的に有意な差は認められず、著しい異質性のエビデンスを有していた(OR:2.40、95%CI:0.92~6.27、I2=95%、1万9,505例)。
・ゾルピデム投与後の傷害リスクを評価する分析では、異質性のエビデンスは認められず、統計学的に有意な傷害リスクが認められた(OR:2.05、95%CI:1.95~2.15、I2=0、16万502例)。
・高品質の研究、不眠症に罹患した対照群を有する研究、特定のZ薬による研究に限定した分析を含む感度分析においても、同様の結果であった。
著者らは「Z薬は、骨折リスク増加と関連性が認められ、転倒や傷害リスクも増加させる可能性が示唆された。しかし、抽出された研究は観察研究であり、交絡しやすいと考えられる。臨床医は、高齢者に対しZ薬を投与する際には、これらの潜在的なリスクを考慮する必要がある」としている。
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(鷹野 敦夫)