大腸がん(CRC)の術後再発は依然として重要な問題である。CRCの症状は明らかなものはなく、早期では自覚症状はない。
一方、最近の液体クロマトグラフィー/質量分析といった分析技術やメタボロミクスの進歩が、がんなどのさまざまな疾患で報告されている。その結果、血漿中遊離アミノ酸(PFAA)プロファイルは、健康人と、がんなどの罹患者で異なっていることが報告されている。そのような中、血液サンプル中の6種のPFAAを定量することで、がんの早期発見を可能にした、アミノインデックスがんスクリーニング(AminoIndex Cancer Screening、以下AICS)システムが開発された。神奈川県立がんセンター片山 佳代子氏らによるこの研究では、AICSを用いて、CRC患者における手術前と手術後のPFAAを比較した。BMC Surgery誌2018年2月21日号に報告された。
この研究は、神奈川県立がんセンターでCRCの治癒切除を受けた62例の患者コホートから成る。切除1週間前および切除後0.5~6.5年に絶食状態で血液サンプルを採取し、PFAAレベルを液体クロマトグラフィー/質量分析によって測定し、AICS値を算出した(高値ほどがんの確率が高い)。AICS値から計算されたリスクは、AICSランクとしてA、B、Cに分けられた(ランクCが最高リスク)。
主な結果は以下のとおり。
・すべての患者はAICSランクB(25例)かC(37例)であった。
・AICS値は62例中57例(92%)で、AICSランクは62例中49例(79%)で、術前に比べ術後で有意に低下した(p<0.001)。
・AICSランクCに限ってみると、AICS値は37例中35例(95%)で、AICSランクは37例中29例(78%)で、術前に比べ術後で有意に低下した(p<0.001)
・StageI~IIIのすべての患者でAICS値が術前に比べ術後に低下した。
・右側腫瘍のすべての患者でAICS値が術前に比べ術後に低下した。
・AICS値の低下は、左側腫瘍に比べ、右側腫瘍で大きかった(右側8.0→2.3、左側8.2→4.7、p<0.001)。
・腫瘍マーカー(CA19-9およびCEA)レベルが基準範囲内にあった患者は、手術前は70~80%であったが、手術後では80~90%となった。
この研究から、PFAAプロファイルは担がん状態では、変化していることが示唆される。少量の血液で測定可能なAICSは、腫瘍切除後のCRC患者の予後予測および再発のモニタリングに使用できる可能性がある、と述べている。
(ケアネット 細田 雅之)