授乳中の抗てんかん薬使用に関する母親への情報提供

提供元:ケアネット

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公開日:2018/03/23

 

 さまざまな抗てんかん薬の母乳中への移行、それによる乳児に対する影響についての情報は限られている。これらの問題が明らかとなっていないため、抗てんかん薬服用中の患者には母乳による育児を推奨することができない。スイス・ローザンヌ大学のM. Crettenand氏らは、授乳中の抗てんかん薬に関する利用可能なデータを包括的にレビューし、これらの情報を添付文書(SmPC)に記載されている内容と比較し、母乳育児中の女性にこれらの薬剤を使用するための推奨を提供するため、検討を行った。Der Nervenarzt誌オンライン版2018年2月27日号の報告。

 23種類の抗てんかん薬の母乳育児データに関するシステマティックレビューを行った。授乳適合性スコアを作成し、検証を行った。システマティックレビューに基づく推定スコアは、添付文書に記載された推奨に基づく推定スコアとの比較を行った。

 主な結果は以下のとおり。

・授乳中における15種類の抗てんかん薬の投与および安全性に関するデータを含む75報を特定した。
・レビューおよび添付文書に基づくスコア値の比較では、一致率が非常に低かった(重み付けκ係数:0.08)。
・授乳中の抗てんかん薬として、適していると考えられる薬剤は以下5種類。
 フェノバルビタール、プリミドン、カルバマゼピン、バルプロ酸、レベチラセタム
・母乳育児中に、乳児の副作用を慎重に観察することができれば、推奨可能である薬剤は以下10種類。
 フェニトイン、エトスクシミド、クロナゼパム、オクスカルバゼピン、ビガバトリン、トピラマート、ガバペンチン、プレガバリン、ラモトリギン、ゾニサミド
・母乳育児によるリスクを適切に評価するためのデータが不十分なため、原則として推奨されないが、ケースバイケースで注意深く評価する必要がある薬剤は以下8種類。
 mesuximide、クロバザム、ルフィナミド、felbamate、ラコサミド、スルチアム、ペランパネル、retigabine

 著者らは「実際には、母乳育児を希望する抗てんかん薬治療を受けている母親ごとにリスクとベネフィットを分析し、患者と話し合う際には、個別のリスク要因を適切に考慮する必要がある」としている。

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(鷹野 敦夫)