術後せん妄を経験した大腿骨頚部骨折患者の認知症発症リスク

提供元:ケアネット

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公開日:2018/05/03

 

 術後せん妄が、股関節部の骨折患者の認知症発症率にどの程度影響を及ぼすかは不明であり、せん妄や認知症の検出方法については検証が必要とされている。スウェーデン・ウメオ大学のB. Olofsson氏らは、大腿骨頚部骨折手術後3年以内の認知症発症について、潜在的な予測因子として術後せん妄に焦点を当て、調査を行った。International journal of geriatric psychiatry誌2018年4月号の報告。

 認知症、うつ病、心理的ウェルビーイング、栄養状態について、入院中および手術後4、12、36ヵ月後に評価を行った。術後せん妄および認知症発症に関連する因子は、ロジスティック回帰モデルを用いて分析した。

 主な結果は以下のとおり。

・研究対象は、認知症の既往歴のない患者135例。そのうち、せん妄を発症したのは術前で20例(14.8%)、術後で75例(55.5%)であった。
・術後3年時で、43例(31.8%)が認知症と診断された。
・術後せん妄が認められた75例には、認知症を発症しなかった患者(92例中36例、39.1%)よりも発症した患者(43例中39例、90.6%)の方が、多く含まれていた。
・ロジスティック回帰モデルでは、共変量(年齢、性別、糖尿病、術前および術後せん妄、過活動性せん妄、せん妄の日数、尿路感染症、簡易栄養状態評価表スコア)で調整した後、術後せん妄は、術後3年以内の新規認知症発症の独立したリスク因子であることが示唆された(オッズ比:15.6、95%CI:2.6~91.6)。

 著者らは「本結果より、術後せん妄が認められる老年性股関節部の骨折患者では、認知症の発症を注意深く観察する必要がある」としている。

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(鷹野 敦夫)