すべての認知症、アルツハイマー型認知症、血管性認知症や軽度認知障害のリスクとスタチン使用との関連について、台湾・Kaohsiung Veterans General HospitalのChe-Sheng Chu氏らが、システマティックレビュー、メタ解析を実施した。Scientific reports誌2018年4月11日号の報告。
2017年12月27日までの、成人におけるスタチンの使用と認知機能低下に関する研究を、主要な電子データベースより検索を行った。各研究の効果量を統合するため、相対リスク(RR)を算出するランダム効果メタ解析を実施した。
スタチン使用はすべての認知症リスクの有意な低下と関連
成人におけるスタチンの使用と認知機能低下に関する研究の主な結果は以下のとおり。
・適格基準を満たしていた研究は、25報であった。
・スタチン使用と認知症リスクとの関連は以下のとおり。
●すべての認知症リスクの有意な低下と関連(16報、調整RR:0.849、95%CI:0.787~0.916、p=0.000)
●アルツハイマー型認知症リスクの有意な低下と関連(14報、調整RR:0.719、95%CI:0.576~0.899、p=0.004)
●軽度認知障害リスクの有意な低下と関連(6報、調整RR:0.737、95%CI:0.556~0.976、p=0.033)
●血管性認知症と有意な関連は認められなかった(3報、調整RR:1.012、95%CI:0.620~1.652、p=0.961)
・サブグループ解析では、水溶性スタチンは、すべての認知症リスク低下と関連が認められ(調整RR:0.877、95%CI:0.818~0.940、p=0.000)、アルツハイマー型認知症リスクが低くなる可能性が示唆された(調整RR:0.619、95%CI:0.383~1.000、p=0.050)。
・脂溶性スタチンは、アルツハイマー型認知症リスク低下と関連が認められたが(調整RR:0.639、95%CI:0.449~0.908、p=0.013)、すべての認知症との関連は認められなかった(調整RR:0.738、95%CI:0.475~1.146、p=0.176)。
著者らは「本メタ解析では、スタチンの使用は、すべての認知症、アルツハイマー型認知症、軽度認知障害のリスク低下と関連が認められたが、血管性認知症リスク低下との関連は認められなかった」としている。
(鷹野 敦夫)