厚生労働省は「第6回医療従事者の需給に関する検討会」(座長=森田 朗・津田塾大学総合政策学部教授)および「第21回医師需給分科会」(座長=片峰 茂・長崎大学前学長)を5月28日に合同で開催し、検討会は2020年度以降の医師養成数の方向性を示した「第3次中間取りまとめ」の内容について了承した。
2020~21年度については、2019年度までの「新成長戦略」に基づく医学部定員の暫定増の方針をおおむね維持する、とした一方で、2022年度以降については「医師の働き方改革に関する検討会」で議論される時間外労働規制に関する意見等を踏まえ引き続き検討することとされた。今後、2019年度から議論を始め、2020年度には結論を出す見通し。
これまで分科会では、厚生労働省による将来の医師需給推計に基づき議論を進めてきた。性年齢階級別の詳細なデータを用いて仕事量を算出することで、医師の労働時間として3つのケースを仮定し、需給推計を算出している。これによると、労働時間の見込みを一番厳しい週55時間に制限する場合、2033年頃に約36万人で医師需給が均衡し、2040年には医師供給が約2万5,000人過剰となることが見込まれた。
また、取りまとめには「2022年度以降の医師養成数については全国レベルのマクロの医師需要推計だけでなく、ミクロの領域における医師偏在対策や、将来の都道府県毎の医師需給、診療科ごとの医師の必要数、長時間労働を行う医師の人数・割合の変化等についても適切に勘案した上で、人口構造の変化や医療技術の進展など医師を取り巻く環境がこれまでよりも短いスパンで変化していくことも踏まえ、定期的に検討をしていく必要がある」と明記されている。
しかし、日本医師会常任理事の釜萢 敏氏や日本精神科病院協会会長の山崎 學氏は、「地域かかりつけ医としての役割に対する認識や専門医制度が地域包括ケアの将来像と乖離している」と現行の新医師臨床研修制度について指摘。医師養成の現状に危惧する見解を示した。
最後に森田氏は「マクロの議論でありミクロの議論については不完全燃焼な思いの方もおられるだろう。この点は引き続き検討会や分科会で議論していきたい」と今後の方針を示した。
■参考
厚生労働省:医療従事者の需給に関する検討会 医師需給分科会(第21回)
(ケアネット 土井 舞子)