フランス・Bordeaux Population Health Research CenterのAnne Benard-Laribiere氏らは、妊娠中の抗うつ薬使用パターンについて調査を行った。British journal of clinical pharmacology誌オンライン版2018年4月17日号の報告。
フランス人口の約99%が加入している医療保険制度のデータを用いて、2014年に妊娠した女性を対象としたコホート研究を実施した。妊娠前または妊娠中に開始した抗うつ薬使用を評価するため、抗うつ薬治療の変化に関して、妊娠中の抗うつ薬の併用、切り替え、中止、再開について検討を行った。
主な結果は以下のとおり。
・コホート研究に含まれた妊娠件数は76万6,508件(75万5,529例)であった。
・妊娠中の抗うつ薬使用は、1,000件当たり25.7件(95%CI:25.3~26.0)であった。
・新規抗うつ薬使用は、1,000件当たり3.9件(95%CI:3.7~4.0)であり、最も使用された薬剤は選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)であった。妊娠第2・3三半期で最も使用された薬剤は、アミトリプチリン、三環系抗うつ薬であった。
・ほとんどの抗うつ薬治療の変化は、妊娠前および妊娠第1三半期に観察された。妊娠1年前に行われていた抗うつ薬治療のうち63%が、受胎前に中止された。受胎後に継続されていた抗うつ薬治療のうち68%が、妊娠第1三半期に中止された。抗うつ薬の切り替えまたは併用は、妊娠前後または妊娠第1三半期に多く行われていた。
・最初の抗うつ薬の種類にかかわらず、セルトラリンへの切り替えが最も多かった。
・主な併用は、SSRIに加えて、三環系/四環系抗うつ薬、ミルタザピン/ミアンセリンであった。
・妊娠中に抗うつ薬治療を中断した妊婦のうち22%は、治療を再開した。
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(鷹野 敦夫)