小児のアトピー性皮膚炎、重症例で白内障のリスク増加

提供元:ケアネット

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公開日:2018/06/20

 

 小児のアトピー性皮膚炎(AD)患者における白内障の発症リスクに関するデータは不足している。韓国・ソウル大学のHyun Sun Jeon氏らは10年間にわたり集団ベースの後ろ向きコホート研究(縦断研究)を行った。その結果、白内障の絶対リスクはADの有無にかかわらず非常に低かったが、ADを有する小児は手術を要する白内障のリスクが高く、とくに重症の場合は白内障の発症と白内障手術の両方のリスクが高まる可能性が示唆された。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2018年6月7日号掲載の報告。

 研究グループは、韓国の小児集団において、ADと続発性白内障の発症および白内障手術との関連を調査する目的で、2002~13年のKorean National Health Insurance Service databaseからnationally representative dataを用いて解析した。対象は20歳未満のAD患者または重症AD患者で、年齢、性別、居住地域および世帯収入から傾向スコアを算出して、調整した。

 主要評価項目は、白内障発症率と白内障手術の発生率で、カプランマイヤー法とログランク検定を用いAD群と対照群を比較した。また、対照群における白内障および白内障手術のリスク因子について、Cox比例ハザードモデルを用いて解析した。

 主な結果は以下のとおり。

・解析対象は、AD群3万4,375例(女児1万6,159例[47%]、平均年齢[±SD]3.47±4.96歳、重症AD群3,734例[10.9%])、対照群13万7,500例であった。
・白内障の発症は、AD群と対照群で差はなかった(0.216% vs.0.227%、95%信頼区間[CI]:-0.041~0.063%、p=0.32)。重症AD群とその対照群も同様に差はなかった(0.520% vs.0.276%、95%CI:-0.073~0.561%、p=0.06)。
・白内障手術の施行は、AD群で対照群より高頻度であった(0.075% vs.0.041%、95%CI:0.017~0.050%、p=0.02)。重症AD群とその対照群でも同様であった(0.221% vs.0.070%、95%CI:0.021~0.279%、p=0.03)。
・重症AD群は、白内障の発症(補正後ハザード比:1.94、95%CI:1.06~3.58、p=0.03)および白内障手術の実施条件(補正後ハザード比:5.48、95%CI:1.90~15.79、p=0.002)の両方に関連していた。

(ケアネット)