日本の大学生の約4割は、インターネットによって生活に問題がもたらされているという研究結果が、慶應義塾大学の北沢 桃子氏らによって報告された。筆者らは、その予測要因として、女性であること、年齢が高いこと、睡眠不足、ADHD傾向、うつ病、不安傾向が挙げられるとした。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌2018年4月13日号に掲載。
最近、インターネットの利用が人にどのような悪影響を及ぼすかという研究が重要視されているが、日本の青少年への影響については十分なデータが得られていなかった。
そこで、本研究では、日本の5つの大学に在籍する学生に対してインターネット依存度テスト(IAT:Internet Addiction Test)を実施し、有効回答人数1,258人のインターネット依存度を評価した。また、睡眠の質、ADHDの傾向、抑うつ、不安症状についても聞き取りを行った。
主な結果は以下のとおり。
・回答者全体の38.2%が「インターネットによる問題あり」に分類された。
・女性は、男性よりも「インターネットによる問題あり」に分類される傾向が有意に高かった(男性35.2%、女性40.6%、p=0.05)。
・「インターネットによる問題あり」に分類された群は、分類されなかった群と比較して、以下の項目で有意な差が認められた。
インターネット利用時間が長い(p<0.001)
睡眠の質が低い(p<0.001)
ADHD傾向が強い(p<0.001)
うつ病スコアが高い(p<0.001)
Trait-Anxietyスコアが高い(p<0.001)
・「インターネットによる問題あり」のリスク上昇に寄与した要因は、女性(OR=1.52)、年齢が高い(OR=1.17)、睡眠不足(OR=1.52)、ADHD傾向(OR=2.70)、うつ病(OR=2.24)、不安傾向(OR=1.43)であった。
(ケアネット 生島 智樹)