アスリートにおけるADHDに関連する神経認知障害のシステマティックレビュー 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2018/08/06 注意欠如・多動症(ADHD)は一般的に小児の疾患であるが、若年成人においても頻繁に診断される。最近の研究では、ADHDと脳震盪との関連が示唆されている。米国・ワシントン大学のPoyrung Poysophon氏らは、ADHDを有するアスリートにおいて、脳震盪リスク、症状の報告、回復に関連する神経認知障害のリスクが高いかどうかについて、システマティックレビューを行った。Sports Health誌2018年7、8月号の報告。 PubMed、CINAHL、Psychinfo、コクラン・ライブラリのデータベースで包括的な検索を行った。2006~17年の研究を調査したが、包括基準を満たす研究があったのは2013~17年のみだった。ADHDを有する15~19歳の青年および若年成人アスリートを対象としており、神経心理評価ツールを用いて神経認知障害を調査した研究を抽出した。 主な結果は以下のとおり。 ・包括基準を満たした研究は、17件であった。 ・アスリートのADHD有病率は、4.2~8.1%であった。 ・全体として、ADHDを有するアスリートは、ImPACT(Immediate Post-Concussion Assessment and Cognitive Test)のような神経認知テストのスコアが低く、脳震盪リスクが増加しており、症状の報告が多かった。 ・中枢神経刺激薬による治療が、これらのリスクを変化させることを示すエビデンスは、認められなかった。 著者らは「ADHDを有するアスリートにおいて、神経認知障害増加との関連が認められたが、その病態生理は不明であった。また、ADHDを有するアスリートに対する、中枢神経刺激薬での治療に関するエビデンスは、不十分である」としている。 ■関連記事 ADHDに対するメチルフェニデートは有益なのか アスリートが経験する脳震盪はうつ病リスクを増加させる スポーツ選手へ最も処方される精神科薬物は? (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Poysophon P, et al. Sports Health. 2018;10:317-326. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 ADHDと電子タバコ、水タバコ、可燃性タバコの使用との関連は? 医療一般(2018/02/01) ADHD児の不注意重症度と野菜や果物など食事の質との関係 医療一般(2022/06/03) 親の年齢とADHDリスク 医療一般(2015/04/10) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 脳出血既往AFに対する脳梗塞予防、DOACは有用か?/Lancet(2025/03/07) GLP-1受容体作動薬、自殺リスクと関連せず/BMJ(2025/03/07) 活動性ループス腎炎に対する新しいタイプの抗CD20抗体の治療効果(解説:浦信行氏)(2025/03/07) 抗PD-L1抗体薬、GLP-1薬などに重大な副作用追加/厚労省(2025/03/07) 新規作用機序の潰瘍性大腸炎治療薬オザニモド、その特徴は?/BMS(2025/03/07) 治療抵抗性強迫症に対するSSRI+ブレクスピプラゾールの有用性(2025/03/07) 硬膜外ステロイド注射は慢性腰痛に効果あり?(2025/03/07) 日本人の4人に1人がコロナ陰謀論を信じている!?(2025/03/07) [ あわせて読みたい ] トレンド・トーク『肺がん』(2024/06/11) Dr.大塚の人生相談(2024/02/26) 災害対策まとめページ(2024/02/05) IBD(炎症性腸疾患)特集(2023/09/01) 旬をグルメしながらCVIT誌のインパクトファクター獲得を祝福する【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第63回(2023/08/29) エキスパートが教える痛み診療のコツ(2018/10/11) 医療者向け『学校がん教育.com』(2022/12/01) アトピー性皮膚炎・乾癬特集まとめインデックス(2022/11/11) アトピー性皮膚炎・乾癬特集まとめインデックス(2022/11/11) 診療所売買に関心がある方に!マンガ連載をまとめた冊子プレゼント【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第43回(2022/10/17)