双極性障害は、自殺リスクが高い。そのため、リスク因子の特定は重要である。スウェーデン・ヨーテボリ大学のC. Hansson氏らは、双極性障害患者の大規模コホートにおける自殺のリスク因子を特定するため、検討を行った。Acta Psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2018年8月3日号の報告。
本研究は、双極性感情障害のためのSwedish National Quality Register(スウェーデン国家品質レジストリ)の臨床データを用いたプロスペクティブコホート研究として実施した。アウトカム変数は、2004~14年のCause of Death Registerの自殺とした。ハザード比(HR)は、Cox比例ハザードモデルを用いて算出した。
主な結果は以下のとおり。
・双極性障害患者1万2,850例(男性:4,844例、女性:8,006例)のうち、1~10年間の追跡期間中に90例(男性:55例、女性:35例)が自殺した。
・統計学的に有意な自殺のリスク因子は、以下のとおりであった。
●男性(HR:2.56)
●独居(HR:2.45)
●自殺企図歴(HR:4.10)
●精神疾患の併存(HR:2.64)
●最近の感情エピソード(HR:2.39)
●犯罪歴(HR:4.43)
●精神科入院治療(HR:2.79)
●措置入院(HR:3.50)
・双極性障害における自殺の統計学的に有意なリスク因子は、男女間で異なるものがあった。
著者らは「双極性障害における自殺のリスク因子は、一般の自殺に関連する因子だけでなく、疾患特有の因子も含まれる」としている。
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(鷹野 敦夫)