若年性双極性障害およびうつ病患者における自殺行動~メタ解析

提供元:ケアネット

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公開日:2022/06/09

 

 うつ病または双極性障害の小児および青年における自殺行動の割合や死亡率を評価するため、イタリア・IRCCS Bambino Gesu Pediatric HospitalのGiulia Serra氏らが、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、気分障害と診断された若者の死亡率(自殺企図当たりの死亡者数)は、一般的な若者よりも高いものの、成人よりは低いことを報告した。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2022年5月16日号の報告。

双極性障害の自殺企図の平均発生率はうつ病より高い

 18歳以下の自殺行動に関する報告をシステマティックにレビューし、プールされたデータから自殺行動リスクや1年発生率を評価するため、ランダム効果メタ解析および多変量線形回帰モデルを用いた。

 双極性障害またはうつ病の小児および青年における自殺行動の割合や死亡率を評価した主な結果は以下のとおり。

・対象は、15ヵ国で検討された研究41件(1995~2020年)より抽出された10万4,801例(うつ病:10万2,519例、双極性障害:2,282例)。自殺行動リスクは0.80~12.5年であった。
・メタ解析では、自殺企図の発生率は、双極性障害で7.44%/年(95%CI:5.63~9.25)、うつ病で6.27%/年(95%CI:5.13~7.41)であった。
・うつ病および双極性障害の患者群を用いた研究5件のメタ解析では、双極性障害患者はうつ病患者と比較し、自殺企図リスクが有意に高かった(OR:1.59、95%CI:1.24~2.05、p<0.0001)。
・6件の研究における若年性気分障害を伴う平均自殺率は、10万人当たり125人/年(56.9~236)であった。この値は成人と同様で、一般的な若者の30倍以上に当たり、年齢が上がるごとにリスクが高まった。
・若年性気分障害患者の自殺企図/自殺の比率(A/S)は52.6であり、一般的な若者(A/S≧250)よりも死亡率が高かったが、成人で推定される死亡率(A/S:約30)よりも低かった。
・若年性気分障害における自殺企図の平均発生率は10万人当たり6,580人/年であり、うつ病患者よりも双極性障害患者のほうが高く、観察期間が短いほど高かった。

(鷹野 敦夫)