2014年から米国では国家的プログラムとして、医師に対する医療関連の企業支払いデータをOpen Paymentsのデータベースにて公開している。これらのデータに関する患者の意見は、患者の懸念や、このような支払い報告の仕組みを改善する政策担当者の理解に役立つとして、米国・コロンビア大学医療センターのGregory E. Stein氏らは、Open Paymentsの情報に対する患者の認識について評価した。その結果、医師の企業からの金銭受け取りを認めないとする患者が多いこと、一方でOpen Paymentsのデータベースにアクセスしたことがある/するつもりがあると回答した患者は少数派であることが明らかになった。著者は、「今回の結果が他の設定条件下でも一般化できるものかどうか、さらなる調査が必要である」とまとめている。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2018年9月13日号掲載の報告。
ニューヨーク市マンハッタンの大学関連機関の眼科クリニック3施設において、アンケート調査に基づく横断研究が行われた。対象は予約を待っていた18歳以上の全患者で、Open Paymentsに関する27の質問に対して、英語またはスペイン語で回答した。また、併せて人口統計情報も収集した。これらの調査データを2016年1~6月に収集し、同年6~9月に分析した。
主要評価項目は、Open Paymentsのデータベースについての患者の認識、ならびに医師の金銭的関係への容認とした。調査の質問項目をクロンバックのα係数にて、患者背景と回答の関連性をポアソン回帰分析にて評価した。
主な結果は以下のとおり。
・調査参加者は407例で、平均年齢±SDは58.8±17.9歳、女性が220例(54.2%)であった。
・Open Paymentsのデータベースについて知っていたのは30例(7.3%、95%信頼区間[CI]:5.1~19.4)で、アクセスするつもりと回答したのは109例(26.8%、95%CI:24.8~34.0)であった。
・半数以上の212例(53.5%、95%CI:48.6~58.5)は、担当医が企業から金銭を受け取っているかを知りたいと回答した。
・どのような支払いにおいても100ドル相当の授受に難色を示した回答は161例(41.9%、95%CI:37.0~46.9)、同様に500ドルでは178例(45.8%、95%CI:40.8~50.7)、2万5,000ドルでは221例(57.0%、95%CI:52.0~61.9%)であった。
・ポアソン回帰分析の結果、使用言語がスペイン語の回答では英語の回答と比較して、医師の金銭受け取りへの容認が38%高いことが示唆された(発生率比[IRR]:1.38、95%CI:1.19~1.59、p<0.001)。
・年齢が1歳上がるごとに、医師の金銭受け取りへの容認は1%減少することが示唆された(IRR:0.995、95%CI:0.99~1.00、p=0.007)。
・大学卒業の調査参加者では、高校卒業以下と比較して、医師の金銭受け取りへの容認は20%低かった(IRR:0.80、95%CI:0.66~0.97、p=0.02)。
(ケアネット)