薬物治療抵抗性慢性不眠症に対する認知行動療法の有効性~日本における多施設ランダム化比較試験 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2018/10/24 不眠症は、夜間の症状と日中の障害によって特徴付けられるのが一般的である。治療では、GABA-A受容体アゴニスト(GABAA-RA)がよく用いられているが、長期使用に関しては、薬物依存や潜在的な認知障害リスクの観点から、リスク-ベネフィット比が低い。精神保健研究所の綾部 直子氏らは、薬物治療抵抗性原発性不眠症患者における認知行動療法(cognitive behavioral therapy for insomnia:CBT-I)を併用したGABAA-RA漸減療法の有効性を評価した。Sleep Medicine誌2018年10月号の報告。 GABAA-RA治療に奏効しない原発性不眠症が持続している患者を対象に、CBT-I療法と通常療法(TAU)を比較したランダム化多施設2アーム並行群研究を実施した。睡眠日誌に基づき、31分以上の睡眠潜時または睡眠開始後の覚醒、3回/週の発生、不眠症重症度指数(Insomnia Severity Index:ISI)総スコア8以上についてスクリーニングを行った。主要アウトカム指標は、不眠症の重症度およびGABAA-RA漸減率とした。 主な結果は以下のとおり。 ・51例がランダム化され、49例(CBT-I群:23例、TAU群:26例)の分析を行った。 ・混合効果反復測定モデルでは、CBT-I群のISIスコアは、TAU群と比較し、介入後(10.91 vs.14.33、p<0.05)およびフォローアップ期間中(10.17 vs.14.34、p<0.01)のどちらにおいても、有意な改善が認められた。 ・CBT-I群におけるGABAA-RA漸減率は、フォローアップ期間中に約30%に達したが、両群間で有意な差は認められなかった。 著者らは「CBT-I併用療法は、GABAA-RA治療抵抗性不眠症患者の症状を改善した。本研究では、CBT-I併用療法によるGABAA-RA漸減率への影響は認められなかったが、プロトコールおよび治療期間を最適化することで、GABAA-RAの減量が可能であろう」としている。 ■関連記事 睡眠薬の長期使用に関する10年間のフォローアップ調査 不眠症治療における睡眠衛生教育のメタ解析 不眠症におけるデュアルオレキシン受容体拮抗薬とその潜在的な役割に関するアップデート (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Ayabe N, et al. Sleep Med. 2018;50:105-112. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 日本における不眠症のためのインターネットベース認知行動療法に関する調査 医療一般 日本発エビデンス(2019/08/12) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] タクシーと救急車の運転手、アルツハイマー病による死亡率低い/BMJ(2024/12/27) 低リスクDCIS、積極的モニタリングvs.標準治療/JAMA(2024/12/27) アルツハイマー型認知症になりたくなければタクシーか救急車の運転手になろう?(解説:岡村毅氏)(2024/12/27) 診療所のマイナ保険証利用率は10%未満の施設が約7割/日医(2024/12/27) 抗精神病薬の多剤併用は50年間でどのように変化したのか(2024/12/27) 心房細動の早期発見、早期介入で重症化を防ぐ/日本心臓財団(2024/12/27) 食品中の果糖はがんの進行を促進する?(2024/12/27) 明晰な頭脳の維持には骨格筋量の維持が重要(2024/12/27) [ あわせて読みたい ] Dr.林の笑劇的救急問答15<下巻>(2020/06/10) Dr.皿谷の肺音聴取道場(2020/05/10) 岡田正人のアレルギーLIVE(2020/04/10) 新型コロナ治療薬の有力候補、「siRNA」への期待(2020/03/26) 開発中の治療法最前線(2020/02/17) 希少疾病・難治性疾患特集 2020(2020/02/03)