睡眠薬の長期使用に関する10年間のフォローアップ調査

提供元:ケアネット

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公開日:2018/09/06

 

 催眠鎮静薬の長期使用は、非常によく行われているが、ガイドラインでは推奨されていない。新規睡眠薬使用患者における長期使用への移行率は、十分に研究されているわけではなく、現時点では、有益だと考えられる推奨薬は不明である。イスラエル・テルアビブ大学のYochai Schonmann氏らは、新規睡眠薬使用患者における長期使用リスクを定量化し、睡眠薬の選択とその後の使用パターンとの関連性を検討した。European Journal of Clinical Pharmacology誌オンライン版2018年8月8日号の報告。

 イスラエル最大のヘルスケアプロバイダーのデータベースを用い、検討を行った。2000~05年に催眠鎮静薬を新たに使用した患者23万6,597例を対象に、10年間フォローアップを行った。2年目、5年目、10年目の処方箋が記録された。初回の睡眠薬選択(ベンゾジアゼピン/Z薬[非ベンゾジアゼピン系])と長期使用との関連は、多変量ロジスティック回帰モデルを用いて評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・新規睡眠薬使用患者の平均年齢は、63.7歳(SD±16.4歳)であった。
・女性の割合は、58.6%であった。
・ベンゾジアゼピンは、15万4,929例(65.5%)に使用されていた。
・ベンゾジアゼピン使用患者は、Z薬使用患者と比較し、より高齢であり、社会経済的状態もより低かった(p<0.001)。
・10年目において、新規ベンゾジアゼピン使用患者の66.8%(10万3,912例)が30DDD(defined daily dose:規定1日用量)以下、20.4%(3万1,724例)が長期使用(180DDD/年以上)、0.5%(828例)が過量投与(720DDD/年以上)であった。
・Z薬の使用は、長期使用リスクの増加と関連していた(p<0.0001)。
 2年目:17.3% vs.12.4%、RR=1.40(1.37~1.43)
 5年目:21.9% vs.13.9%、RR=1.58(1.55~1.61)
 10年目:25. 1% vs.17.7%、RR=1.42(1.39~1.45)
・Z薬使用患者における日常的投与および過量投与についても、同様の結果が観察された(p<0.001)。

 著者らは「新規催眠鎮静薬使用患者のうち約20%が長期使用となっていた。また、過量投与は、0.5%に認められた。そして、Z薬の使用は、長期使用リスク増加と関連が認められた」としている。

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(鷹野 敦夫)