わが国の地域住民を対象としたCIRCS研究(Circulatory Risk in Communities Study)により、大量喫煙男性と女性において喫煙および累積喫煙曝露量が、橈骨動脈増幅係数の増加と正相関を示すことが報告された。橈骨動脈増幅係数は機能的動脈硬化の指標となる。Hypertension Research誌オンライン版2018年10月17日号に掲載。
本研究は、わが国の40~79歳の男性1,593人および女性2,671人を対象とした横断的な集団ベースの研究。喫煙状況はインタビューで確認し、pack-yearを算出した。橈骨動脈増幅係数は、自動血圧計(HEM-9000AI、オムロンヘルスケア社)を用いて測定した中心脈圧と上腕脈圧の比とした。
主な結果は以下のとおり。
・男性で30本/日以上喫煙する現在喫煙者および女性の喫煙者では、非喫煙者よりも橈骨動脈増幅係数が高い人の割合が高かった。
・既知のアテローム性動脈硬化リスク因子を調整後、非喫煙者と比べた、30本/日以上喫煙する男性における高い橈骨動脈増幅係数の多変量オッズ比(OR)(95%信頼区間[CI])は1.9(1.1~3.4)であった。
・女性において、非喫煙者と比べた過去喫煙者および現在喫煙者における高い橈骨動脈増幅係数の多変量OR(95%CI)は、それぞれ1.8(1.2~2.7)および2.5(1.6~3.9)であった。
・喫煙pack-yearは男女とも高い橈骨動脈増幅係数と正の相関があった。
・男女とも、喫煙状況と高い中心脈圧または上腕脈圧との関連はなかった。
(ケアネット 金沢 浩子)