中強度運動が緑内障の視野欠損進行を遅らせる?

提供元:ケアネット

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公開日:2018/11/13

 

 身体活動レベルと緑内障による視野欠損には関連があるのだろうか。米国・ジョンズ・ホプキンス大学のMoon Jeong Lee氏らは、縦断研究において、1日の平均歩数、中等度以上の身体活動(MVPA)時間および非座位活動時間の増加が、緑内障患者の視野欠損の進行抑制と関連していることを明らかにした。毎日5,000歩または非座位活動を2.6時間行えば、緑内障における視野欠損の平均的な割合が10%減少するという。著者は、「今後、身体活動が緑内障の視野欠損を遅らせることができるか、または視野欠損の進行が活動制限をもたらすかを、前向き研究で検討する必要がある。もし前者が確認されれば、身体活動は緑内障によるダメージを防ぐ新たなリスク因子として特徴付けられるだろう」とまとめている。Ophthalmology誌オンライン版2018年10月10日号掲載の報告。

緑内障における身体活動レベルと視野欠損の関連
 研究グループは、緑内障における身体活動レベルと視野欠損の関連を調べる目的で、緑内障疑いまたは緑内障と診断された高齢者141例(平均年齢64.9±5.8歳)を対象として研究を行った。その間に、加速度センサーを1週間着用してもらい、1日の平均歩数、MVPA時間および非座位活動時間を測定した。また、身体活動評価前後における入手可能なすべてのVF測定値を後ろ向きに分析し、視野欠損の割合を評価した。主要評価項目は、身体活動測定値に関連するVF感度におけるPointwiseの変化であった。

 主な結果は以下のとおり。

・身体活動評価時における視野測定の結果、平均偏差(MD)は-6.6dB、1日の平均歩数は5,613±3,158歩であった。
・視野感度をPointwiseで測定した際、視野欠損の未調整の平均的な割合は0.36dB/年(95%信頼区間[CI]:-0.37~-0.35)であった。
・多変量解析の結果、歩数が多い(1日1,000歩で+0.007dB/年、p<0.001)、MVPA時間が多い(MVPA 1日10分以上で+0.003dB/年、p<0.001)、非座位活動時間が多い(非座位活動時間1日30分以上で+0.007dB/年、p=0.005)患者において、視野欠損が緩徐であることが観察された。
・視野欠損率の進行速度と関連する因子は、年齢(高齢)、非白色人種、緑内障手術、白内障手術、ベースライン時点の視野障害が軽度(MD>-6dB)に対して中等度視野障害(-6dB≧MD>-12dB)があることであった。
・他の期間(たとえば、活動評価1年、3年および5年以内)でも、ベースライン時に加速度センサーで測定した身体活動値と視野欠損の割合との間に、同様の関連が観察された。

(ケアネット)