統合失調症患者では、ベンゾジアゼピンの投与量や使用頻度が一般集団よりも高い。台湾・台北市立連合医院のSheng-Yun Cheng氏らは、統合失調症患者におけるベンゾジアゼピン使用と肺炎発症リスクとの関連を調査するため、ネステッド・ケース・コントロール研究を実施した。Psychopharmacology誌2018年11月号の報告。
台湾の全民健康保険研究データベースを用いて、2000~10年の統合失調症コホートより3万4,929例を抽出した。統合失調症コホート内より、肺炎患者2,501例およびマッチした対照群9,961例(比率1:4)を抽出した。ベンゾジアゼピン使用は、薬剤、治療期間、1日投与量で分類した。ベンゾジアゼピン使用と肺炎リスクとの関連性は、条件付きロジスティック回帰モデルを用いて分析した。
主な結果は以下のとおり。
・30日以内のベンゾジアゼピン使用において肺炎リスクが高かった薬剤は、以下の順であった。
●ミタゾラム(調整リスク比:6.56、p<0.001)
●ジアゼパム(調整リスク比:3.43、p<0.001)
●ロラゼパム(調整リスク比:2.16、p<0.001)
●トリアゾラム(調整リスク比:1.80、p=0.019)
・また、現在使用されているほとんどのベンゾジアゼピンにおいて、肺炎リスクに対する用量依存反応が認められた。
・肺炎リスクは、γ-アミノ酪酸A α1、α2、α3受容体との親和性と相関が認められた。
著者らは「統合失調症患者において、ベンゾジアゼピン使用と肺炎リスクには、用量依存的な関連が認められた。各薬剤のリスクと作用機序の違いについては、さらなる検討が必要である。臨床医は、ベンゾジアゼピンを使用している統合失調症患者における肺炎の早期兆候を見逃さないようにすべきである」としている。
■関連記事
アルツハイマー病患者へのベンゾジアゼピン使用と肺炎リスク
ベンゾジアゼピン系薬の中止戦略、ベストな方法は
統合失調症治療、ベンゾジアゼピン系薬の位置づけは
(鷹野 敦夫)