統合失調症における呼吸器系疾患の有病率~メタ解析

提供元:ケアネット

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公開日:2021/11/02

 

 統合失調症患者は、死亡リスクが高く、その主な原因は呼吸器系疾患であるにもかかわらず、有病率などの調査は十分に行われていない。オーストラリア・クイーンズランド大学のShuichi Suetani氏らは、統合失調症患者における呼吸器系疾患の有病率を明らかにするため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Schizophrenia Research誌オンライン版2021年9月11日号の報告。

統合失調症患者の呼吸器系疾患の有病率は有意に高かった

 2020年4月27日までに公表された統合失調症患者(可能であれば対照群を含む)の呼吸器系疾患について調査した研究を、主要な電子データベースより検索した。分析では、ランダム効果メタ解析を実施した。

 統合失調症患者における呼吸器系疾患の有病率を分析した主な結果は以下のとおり。

・引用文献1,569件中21件をメタ解析に含めた。対象数は、統合失調症患者61万9,214例、対照群5,215万9,551例であった。
・統合失調症患者は、対照群と比較し、COPD(オッズ比[OR]:1.82、95%CI:1.28~2.57)、喘息(OR:1.70、95%CI:1.02~2.83)、肺炎(OR:2.62、95%CI:1.10~6.23)の発症率が有意に高かった。
・統合失調症患者の主な呼吸器系疾患の有病率は、以下のとおりであった。
 ●COPD:7.7%(95%CI:4.0~14.4)
 ●喘息:7.5%(95%CI:4.9~11.3)
 ●肺炎:10.3%(95%CI:5.4~18.6)
 ●結核:0.3%(95%CI:0.1~0.8)
・出版バイアスで調整した後、統合失調症患者のCOPD有病率は、19.9%(95%CI:9.6~36.7)まで増加した。

 著者らは「今回調査した呼吸器系疾患の有病率は、一般集団よりも統合失調症患者において有意に高かった。統合失調症患者の死亡リスクを軽減するためにも、呼吸器系疾患の予防やマネジメントの改善に焦点を当てる必要がある」としている。

(鷹野 敦夫)