便秘が、全死亡・心血管イベントリスクと関連

提供元:ケアネット

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公開日:2019/01/30

 

 便秘は日常診療で最も遭遇する症状の1つであり、アテローム性動脈硬化症の発症と関連している(腸内微生物叢の変化による可能性)が、心血管イベント発症との関連についてはほとんど知られていない。今回、米国退役軍人コホートにおける研究から、便秘であることと便秘薬の使用がそれぞれ独立して、全死因死亡、CHD発症、虚血性脳卒中発症のリスクと関連していたことを、米国テネシー大学/虎の門病院の住田 圭一氏らが報告した。Atherosclerosis誌オンライン版2018年12月23日号に掲載。

 2004年10月1日~2006年9月30日(ベースライン期間)に、推算糸球体濾過量(eGFR)が60mL/分/1.73m2以上であった米国退役軍人335万9,653例において、2013年まで追跡し、便秘の有無(診断コードと便秘薬の使用により定義)・便秘薬の使用(なし、1種類、2種類以上)と、全死因死亡率・冠動脈疾患(CHD)発症・虚血性脳卒中発症との関連を検討した。

 主な結果は以下のとおり。

・335万9,653例のうち、23万7,855例(7.1%)が便秘と同定された。

・人口統計、一般的な併存症、薬物治療、社会経済的地位に関する多変量調整後、便秘の患者は、便秘ではない患者と比べて全死因死亡率が12%高く(ハザード比[HR]:1.12、95%CI:1.11~1.13)、CHD発症率が11%(HR:1.11、95%CI:1.08~1.14)、虚血性脳卒中発症率が19%高かった(HR:1.19、95%CI:1.15~1.22)。

・便秘薬使用なしの患者に比べ、1種類および2種類以上の便秘薬使用患者のHR(95%CI)はそれぞれ、全死因死亡率で1.15(1.13~1.16)および1.14(1.12~1.15)、CHD発症率で1.11(1.07~1.15)および1.10(1.05~1.15)、虚血性脳卒中発症率で1.19(1.14~1.23)および1.21(1.16~1.26)であった。

(ケアネット 金沢 浩子)