統合失調症でみられる強迫症状に関するレビュー

提供元:ケアネット

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公開日:2019/01/28

 

 統合失調症における強迫症状(OCS)や強迫症(OCD)に関する文献について、インド・Postgraduate Institute of Medical Education and ResearchのSandeep Grover氏らがレビューを行った。Acta Neuropsychiatrica誌オンライン版2018年12月18日号の報告。

 電子検索により、統合失調症患者におけるOCSやOCDに関するさまざまな研究を検索した。

 主な結果は以下のとおり。

・統合失調症患者におけるOCSやOCDの有病率は、一般集団よりもはるかに高く、統合失調症の各ステージでみられ、慢性期、安定期、欠損期に危険な精神状態で発症することが示唆された。
・統合失調症患者におけるOCSやOCDの症状プロファイルは、OCD患者のみでみられる症状と類似していた。
・OCSやOCDの有無は、より重症な統合失調症の症状およびアウトカム不良と関連が認められた。
・統合失調症におけるOCSやOCDのマネジメントに対する、さまざまな薬理学的および心理学的介入の有効性に関するデータは、非常に限られていた。
・特定の抗精神病薬、抗うつ薬、認知行動療法が有効であることを示す、いくつかのエビデンスがあった。
・統合失調症患者のOCSやOCDのマネジメントには、適切な評価が求められる。
・OCSやOCDが特定の抗精神病薬の使用と関連している場合には、まずは抗精神病薬の減量を試みなければならない。しかし、減量が効果的でない場合には、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の併用を検討する必要がある。
・OCSやOCDが抗精神病薬の使用と関連していない場合には、精神症状の重症度に焦点を当てるよりも、SSRIの併用を検討する必要がある。

 著者らは「統合失調症患者では、OCSやOCDが頻繁に認められることが示唆された。統合失調症におけるOCSやOCDのマネジメントに推奨される質の良いエビデンスは限られている」としている。

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(鷹野敦夫)