猫の飼育は、統合失調症関連障害および精神病症状様体験(PLE)のリスク修飾因子であるといわれている。この可能性についてオーストラリア・クイーンズランド大学脳研究所のJohn J McGrath氏らの研究グループは、猫の飼育と統合失調症関連の転帰との関係を報告した文献の系統的レビューおよびメタ解析を行った。その結果、猫の飼育(猫への曝露)は広義の統合失調症関連障害のリスク増加との関連を支持するものであった。Schizophrenia Bulletin誌オンライン版2023年12月2日号の報告。
猫の飼育と統合失調症関連障害の発症オッズの上昇との関係
方法として、Medline、Embase、CINAHL、Web of Science、および灰色文献のうち1980年1月1日~2023年5月30日の出版物について、地域や言語に関係なく検索。追加論文の検索では後方引用検索法を用いた。研究対象は、猫の飼育と統合失調症関連の転帰に関するオリジナルデータを報告している研究。広義の定義(猫の所有、猫の咬傷、猫との接触)に基づく推定値を、共変量調整の有無にかかわらずメタ解析し、ランダム効果モデルを用いて比較可能な推定値をプールし、バイアスリスク、異質性、研究の質を評価した。
主な結果は以下のとおり。
・1,915件の研究を同定し、そのうち106件をフルテキスト・レビューに選択。最終的に17件の研究を組み入れた。
・広義の猫の飼育と統合失調症関連障害の発症オッズの上昇との間に関連が認められた。
・調整前のプールされたオッズ比(OR)は2.35(95%信頼区間[CI]:1.38~4.01)であり、調整後のプールされた推定値は2.24(95%CI:1.61~3.12)だった。
・PLEアウトカムの推定値は、測定範囲が広いため集計できなかった。
これらの結果からMcGrath氏は「猫への曝露と広義の統合失調症関連障害のリスク増加との関連を支持するものだったが、転帰としてのPLEに関する知見はさまざまだった」と結論付けている。
(ケアネット 稲川 進)