世界で初めての「IgG4関連硬化性胆管炎診療ガイドライン」が完成した。
本症は、2003年に神澤 輝実氏(東京都立駒込病院)が提唱した、新しい全身性疾患であるIgG4関連疾患の胆管病変と考えられ、その特徴として、胆管狭窄を来し、黄疸や肝機能障害するほか、画像所見上では、胆管がんや原発性硬化性胆管炎との鑑別が非常に困難で診療に苦慮する例があるとされる。
本症では、ステロイドが奏効するため確定診断がなされれば治療に問題ない例が多いが、診療上、先の2つの疾患との鑑別が非常に重要となる。すなわち誤った診断がなされれば、「胆管がんの診断で手術をしたら、病理学的にはIgG4関連硬化性胆管炎で、手術する必要がなかった」といった、患者に多大なリスクを負わせる例を起こしかねないからである。
そこで、今回診療ガイドラインを定めることで、こうした誤診のリスクを回避し、標準的な診療が行われ、疾患の概念が医療者をはじめ社会に広がることを期待するものである。
ガイドラインの一端を紹介すると本症の確定診断については、病理組織学的診断が最も有用だが、胆管は細く、生検で十分な検体を取ることが難しく、病理診断が困難であるため、血中IgG4値、胆管像所見、胆管内超音波検査などを組み合わせることで診断する。また、臨床的に本症か胆管がんかの鑑別診断では、2週間のステロイド投与を行い、その反応性で診断するステロイドトライアルを行うこともあるとされる。
このような診療上の注意点などを解説した「IgG4関連硬化性胆管炎の診療ガイドライン」は、日本胆道学会と厚生労働省の2つの研究班(班長:神澤 輝実)が合同して、2年半をかけ作成し、世界で初めて完成したものである。
今後、日本語版も制作し、日本胆道学会のホームページから配信する予定。
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IgG4関連疾患
(ケアネット 稲川 進)