扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)のほとんどには上皮成長因子受容体(Epidermal Growth Factor Receptor、以下EGFR)が発現しており、腫瘍形成に関与している。抗EGFR抗体necitumumabは、第III相SQUIRE試験でゲムシタビン・シスプラチンとの併用(GC+N)で進行扁平上皮NSCLCの1次治療における全生存期間(OS)を改善した。しかし、この試験では日本人患者は含まれていない。わが国の同じ患者集団の1次治療におけるGC+N療法を評価した多施設共同非盲検第Ib/II相試験の結果がLung Cancer誌2019年3月号に報告された。
第Ib相試験は第II相のゲムシタビンの推奨用量を決定する用量設定試験。第II相は、患者をGC+Nまたはゲムシタビン+シスプラチン(GC)に1:1で割り付けた無作為化比較試験。
第II相パート
・対象:未治療のStageIV扁平上皮NSCLC日本人患者
・試験薬群:ゲムシタビン1,250mg/m2(day1、day8)+シスプラチン75mg/m2(day1)、+necitumumab 800mg(day8)、3週ごと。GCは最大4サイクル、necitumumabは進行または忍容できない毒性が発現するまで継続
・対照薬群:ゲムシタビン1,250mg/m2(day1、day8)+シスプラチン75mg/m2(day1)、+necitumumab 800mg(day8)、3週ごと。最大4サイクル
・評価項目:[主要評価項目]OS、[副次評価項目]無増悪生存期間(PFS)、客観的奏効率(ORR)、治療成功期間(TTF)など
第II相パートの主な結果は以下のとおり。
・181例の患者がGC+N群91例またはGC群92例に無作為に割り付けられた。
・OS中央値はGC+N群14.9ヵ月、GC群10.8ヵ月とGC+N群で有意に改善された(HR:0.66、95%CI:0.47~0.93、p=0.0161)。
・PFS中央値はGC+N群4.2ヵ月、GC群4.0ヵ月と改善が観察された(HR:0.56、95%CI:0.41~0.78、p=0.0004)。
・ORRはGC+N群51%、GC群21%とGC+N群で良好であった(p<0.0001)。
・生存はEGFR陽性腫瘍の患者においても、GC群に比べGC+N群で有意に延長した。
・GC群に比べGC+N群で発現率が5%以上高かったGrade3以上の治療関連有害事象項目は、好中球減少(42% vs.35%)、熱性好中球減少症(12% vs.3%)、食欲減退(11% vs.4%)、ざ瘡様皮膚炎(6% vs.0%)であった。
■参考
Clinicaltrials.gov
Watanabe S, et al.Lung Casncer.2019;129:55-62.
(ケアネット 細田 雅之)