予後予測に優れた円形脱毛症評価ツールを開発

提供元:ケアネット

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公開日:2019/05/08

 

 円形脱毛症は、さまざまな原因やタイプがあることで知られている。韓国・延世大学校のSolam Lee氏らは、これに対し、すでに多くの評価ツールや分類法があるが、それらによる予後予測の価値は限定的だとして、予後の層別化に重点を置いた評価ツール「TOAST(topography-based alopecia areata severity tool)」を開発した。「TOASTは、毛髪損失の局所的特徴と予後を描出するのに効果的であり、医師はより良い治療計画を立てることができるだろう」と述べている。また、開発の過程で、「より良く予後を層別化するには、側頭部の病変を個別に評価することが必要」であることも明らかになったとしている。JAMA Dermatology誌オンライン版2019年3月27日号掲載の報告。

 研究グループは、円形脱毛症における遺伝子表現型を同定し、予後を層別化するための予測モデルおよび重症度分類システム確立のため、クラスター分析を行った。

 2012年10月~2017年2月に特定の3次医療施設を受診し4-view photographic assessmentを受けた円形脱毛症患者321例について、後ろ向きコホート研究を実施した。Severity of Alopecia Tool(SALT)2を用いて、臨床写真の毛髪損失を評価し、Ward法により円形脱毛症を階層別に分類、クラスター間の臨床的特徴と予後の違いを比較した。また、パフォーマンス、正確性、評価者間信頼性について、従来手法と比較し評価した。

 主要評価項目は、円形脱毛症の遺伝子表現型と、12ヵ月以内の主要改善率(60~89%)および完全改善率(90~100%)であった。

 主な結果は以下のとおり。

・計321例が5つのクラスターに分類された。
・グレード1は毛髪損失が限定的(200例:主要改善93.4%、完全改善65.2%)であり、グレード2A(66例:87.8%、64.2%)、2B(20例:73.3%、45.5%)は、グレード1より毛髪損失が大きかった。
・また、グレード2Aと2Bは、毛髪損失の全体的な範囲は同程度だったが、2Bでは側頭部領域でも毛髪損失が大きく認められた。一方、2Aでは認められなかった。
・グレード3は、びまん性もしくは広範囲にわたる円形脱毛症が含まれ(20例:45.5%、25.5%)、グレード4は全頭型に該当した(15例:28.2%、16.7%)。
・予後は、グレード1とグレード2Aでは有意差は認められなかった(主要改善率のハザード比[HR]:0.79、95%信頼区間[CI]:0.56~1.12)が、グレード2B(HR:0.41、95%CI:0.21~0.81)、グレード3(HR:0.24、95%CI:0.12~0.50)、グレード4(HR:0.16、95%CI:0.06~0.39)では、有意に不良であった。
・複合モデルにおいて、そのクラスターは最大の予後パフォーマンスと正確性を示した。
・階層クラスターのツリーモデルをTOASTに変換し検証した結果、4人の皮膚科医において、優れた評価者間信頼性があることが示された(2次の重み付けκ係数中央値0.89)。

(ケアネット)