小児自閉スペクトラム症に対するメマンチン徐放性製剤(ER)治療の有効性と長期安全性を評価するため、米国・スタンフォード大学のAntonio Y. Hardan氏らは、3つの第II相試験(MEM-MD-91、MEM-MD-68、MEM-MD-69)を実施した。Autism誌オンライン版2019年4月26日号の報告。
MEM-MD-91(50週間のオープンラベル試験)は、MEM-MD-68(12週間のランダム化二重盲検プラセボ対照治療中止試験)への登録のため、メマンチンER治療反応患者を同定した。MEM-MD-69(オープンラベル延長試験)では、MEM-MD-68とMEM-MD-91、MEM-MD-67(オープンラベル試験)の参加者に対し、メマンチンERで約48週間治療を行った。
主な結果は以下のとおり。
・MEM-MD-91では、対人応答性尺度(SRS)による治療反応患者が12週目で517例(59.6%)であった。平均SRS合計スコアは、臨床的に重要な最小ポイント差(10点)の2~3倍改善していた。
・MEM-MD-68では、メマンチンはプラセボと比較し、主要な有効性パラメータ、治療効果喪失(SRS合計スコアがベースラインから10倍増加)患者の割合において、差は認められなかった。
・MEM-MD-69の探索的分析では、最初の導入研究のベースラインからSRS合計スコアが32.4(26.4)の平均標準偏差の改善が認められた。
・新たな安全性の懸念は、認められなかった。
著者らは「二重盲検試験の先験的に定義された有効性の結果には到達しなかったものの、オープンラベル試験におけるベースラインからの平均SRSスコアの大幅な改善は、臨床的に重要であると考えられる」としている。
(鷹野 敦夫)