エスロトゲン受容体(ER)陽性かつHER2陰性の進行・再発乳がん患者を対象にした、AKT阻害剤capivasertibの二重盲検・プラセボ対照の第II相無作為化比較試験の結果が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2019)で、英国・マンチェスター大学のSacha J. Howell氏より発表された。
試験デザイン
・対象:閉経後のER陽性かつHER2陰性の進行・再発の乳がん患者で、前治療としてのアロマターゼ阻害薬(AI)が無効となった患者
・試験群:capivasertib 400mg×2/日(内服)+フルベストラント500mg(筋注)day1投与(Capi群)
・対照群:プラセボ+フルベストラント500mg day1投与(Flu群)
両群とも28日ごと病勢進行や許容できない有害事象の発現があるまで投与
・評価項目:[主要評価項目]無増悪生存期間(PFS)「副次評価項目」全生存期間(OS)、奏効率(ORR)、クリニカルベネフィット率、安全性、PI3KCA変異またはPTEN過剰発現患者におけるPFS
主な結果は以下のとおり。
・2015年3月~2018年3月に140例が登録され、Capi群に69例、Flu群に71例が無作為に割り付けられた。
・全症例を対象としたITT解析ではPFS中央値はCapi群で10.3ヵ月、Flu群で4.8ヵ月であった(HR:0.58、95%CI:0.39~0.84、p=0.004)。
・OS中央値はCapi群で26.0ヵ月、Flu群で20.0ヵ月であった(HR:0.59、95%CI:0.34~1.05、p=0.071)。
・ORRはCapi群で41%、Flu群で12%であった(p=0.002)。
・PI3Kシグナル活性グループ(59例:42%)におけるPFS中央値はCapi群9.5ヵ月、Flu群5.2ヵ月(p=0.064)、PI3Kシグナル非活性グループ(81例:58%)ではCapi群10.3ヵ月、Flu群4.8ヵ月(p=0.035)であった。
・Grade3以上の有害事象は、下痢(Capi群14%、Flu群4%)、皮疹(Capi群20%、Flu群0%)、高血糖(Capi群4%、Flu群0%)であった。
(ケアネット)