進行肝細胞がん(HCC)2次治療におけるペムブロリズマブの有用性を評価した第III相試験KEYNOTE-240の最新結果が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2019)で米国・カリフォルニア大学のRichard S. Finn氏により発表された。同患者に対するペムブロリズマブは、第II相試験KEYNOTE-224の結果に基づき、2018年11月にFDAが迅速承認している。
KEYNOTE-240は、ペムブロリズマブとBest Supportive Care(BSC;最善の支持療法=疼痛管理のほか、腹水などの合併症対策など、各医療機関の標準治療)の併用による、既治療の進行HCC患者を対象とした二重盲検プラセボ対照無作為化第III相試験。ソラフェニブ不耐あるいは治療後に進行、測定可能病変を有し、Child-Pugh分類A、バルセロナクリニック肝臓がん病期分類(BCLC)BまたはC、ECOG PS 0~1の患者が登録された。
登録患者はペムブロリズマブ(200mg)3週ごと投与+ BSC群と、プラセボ+ BSC群に2:1の割合で無作為に割り付けられた。
主要評価項目は全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)。副次評価項目は奏効率(ORR)と奏効期間(DOR)、安全性などであった。画像中央判定により、RECIST ver. 1.1に準拠して6週ごとに反応を評価した。
主な結果は以下のとおり。
・ペムブロリズマブ群に278例、プラセボ群に135例が無作為に割り付けられた。
・年齢中央値は67歳 vs.65歳、男性は226例(81.3%)vs.112例(83%)、日本人患者は40例(14.4%)vs.19例(14.4%)含まれた。
・データカットオフはOSが2019年1月2日、PFSとORRについては2018年3月26日。
・OS中央値は、ペムブロリズマブ群13.9ヵ月に対しプラセボ群10.6ヵ月と、ペムブロリズマブ群で改善したが(ハザード比[HR]:0.781、95%信頼区間[CI]:0.611~0.998、p=0.0238)、事前に設定された統計的優位性を示す値(p=0.0174)を満たさなかった。
・PFS中央値は、ペムブロリズマブ群3.0ヵ月に対しプラセボ群2.8ヵ月と、ペムブロリズマブ群で良好な傾向を示したが(HR:0.775、95%CI:0.609~0.987、p=0.0186)、事前に設定された値(p=0.002)を満たさなかった。
・ORRはペムブロリズマブ群18.3% vs.プラセボ群4.4%、完全奏功(CR)は2.2% vs.0%、部分奏効(PR)は16.2% vs.4.4%、安定(SD)は43.9% vs.48.9%であった。
・DOR中央値はペムブロリズマブ群13.8ヵ月(1.5~23.6ヵ月)、プラセボ群は未到達(2.8~20.4ヵ月)で、ペムブロリズマブに対する反応は長期的だった。
・Grade3以上の有害事象は、ペムブロリズマブ群52.7% vs.プラセボ群46.3%。免疫関連有害事象は7.2% vs.0.7%で、ペムブロリズマブの他のがん種での治療における報告と同等であった。HBVおよびHCVの再燃も認められていない。
ディスカッサントを務めたワシントン大学のWilliam P. Harris氏は、事前設定の値に到達しなかったが、ペムブロリズマブはOSとPFSの改善傾向を強く示しているとした。そのうえで、統計解析についての試験デザインと、プラセボ群の結果が他試験と比較して良好であった点に言及。アジア人集団対象に実施中の第III相KEYNOTE-394の結果を待ちたいとコメントした。
(ケアネット 遊佐 なつみ)