光免疫療法、局所再発頭頸部がんで良好な成績/ASCO2019

BRCA1/2やATM遺伝子(相同組換え修復遺伝子:HRR遺伝子)に変異があり、かつ転移も有する 去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)に対する、PARP阻害薬のオラパリブと標準的なホルモン剤との比較試験の結果が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で、米国・Northwestern University Feinberg School of MedicineのMaha Hussain氏により発表された。
本試験は国際共同オープンラベル第III相試験である。
・対象:1次治療のホルモン剤(エンザルタミドまたはアビラテロン)投与後に病勢進行となったmCRPC患者で、HRR遺伝子のBRCA1/2、ATM、CDK12、CHEK2など15遺伝子のうち1つでも変異の有る患者387例。
・試験群:[コホートA]HRR遺伝子のうちBRCA1、BRCA2、ATMに変異を有する患者、[コホートB]他のHRR遺伝子の変異を有する患者にオラパリブ300mgx2/日投与。(Ola群)
・対照群:[コホートA、Bとも]、主治医選択によるホルモン剤(エンザルタミドまたはアビラテロン)を投与。(EA群)
・評価項目:[主要評価項目]コホートAの画像評価による無増悪生存期間(rPFS)判定。[副次評価項目]コホートA+BのrPFS、コホートAにおける奏効率、疼痛が増悪するまでの期間(TPP)、
全生存期間(OS)であった。
EA群からOla群へのクロスオーバーが認められていた。各遺伝子の変異は、NGSによる中央測定で決定した。
主な結果は以下のとおり。
・2017年4月~2018年11月までの登録期間で、コホートAとコホートBに2対1の割合(245例と142例)で割り付けられた。
・コホートAのrPFS中央値はOla群で7.39ヵ月、EA群で3.55ヵ月(ハザード比[HR):0.34(95%信頼区間[CI):0.25~0.47、p<0.0001]と有意にOla群が良好であった。
・コホートAの奏効率は、Ola群が33.3%、EA群が2.3%でHR20.86(95%CI:4.18~379.18)、p<0.0001と有意にOla群が高かった。
・同様にコホートAのTPP中央値は、Ola群が未到達、EA群が9.92ヵ月で、HR0.44(95%CI:0.22~0.91)、p=0.0192とOla群で有意に延長していた。
・さらにコホートAのOS中央値は、中間解析でOla群が18.50ヵ月、EA群が15.11ヵ月、HR0.64(95%CI:0.43~0.97)、p=0.0173だった。中間解析用の事前設定のp値の閾値は0.01であったたため、この時点では有意性は検証できなかった。
・コホートAで病勢進行の見られた患者の80.6%でオラパリブへのクロスオーバーが行われていた。
・コホートA+BのrPFS中央値は、Ola群で5.82ヵ月、EA群で3.52ヵ月、HR0.49(95%CI:0.38~0.63)、p<0.0001とOla群で有意に延長していた。
・Ola群の安全性プロファイルは、他がん種の報告と同様で、新たなる予見はみられなかった。
(ケアネット 遊佐 なつみ)
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