米国・メルクアンドカンパニーのChristopher M. Black氏らは、日本における認知障害から認知症までの診断経路を定量化するため、検討を行った。Alzheimer Disease and Associated Disorders誌オンライン版2019年5月22日号の報告。
認知障害患者とその担当医を対象とした、実臨床の横断的調査を実施した。
主な結果は以下のとおり。
・医師106人より1,107例の患者データが提供された。
・最初の症状発現から診察に訪れるまでの平均期間は、7.4±6.9ヵ月であり、診察時に中等度または重度の認知障害が認められた患者の割合は、42%であった。
・最初の診察から正式に診断されるまでの平均期間は、2.9±11.0ヵ月(別の医師へ紹介しなかった場合:1.9±8.8ヵ月、紹介した場合:5.1±14.6ヵ月)であった。
・最初の診察から診断までの時間は、最初の診察時で、より重度の認知障害が認められた患者において、より短縮された(p=0.0072)。
・神経内科医によって診断された割合が最も高かった(45.8%)。
・患者の81.2%は、テストや尺度を用いた診断が行われていた。
・疾患の重症度と別の医師への紹介との関連は認められなかった。患者の30.9%が紹介を受け、その多く(57.7%)は神経内科医であった。
著者らは「日本の認知症患者の多くは、認知障害が発現してからしばらくの間、医師に相談していなかった。認知症に対する国民の理解や認識を高めるための政府の政策および認知症スクリーニングシステムは、疾患が進行する前に医師へ相談する患者を増やすよう努めるべきである」としている。
(鷹野 敦夫)