うつ病は、個人だけでなく社会に大きな悪影響を及ぼす疾患であり、早期発見のための心理学的な評価ツールが求められる。久留米大学の大園 秀一氏らは、アップデートされた小児抑うつ尺度-日本語版(CDI-J)の信頼性および妥当性を評価し、うつ病検出のカットオフ値を設定するため検討を行った。Pediatrics international誌オンライン版2019年7月25日号の報告。
対象は、7~17歳の子供・青年465人。小・中学校の生徒および病院スタッフの子供たちより集められた群を対照群、小児心身外来および思春期精神科外来患者を外来患者群とした。両群のCDI-Jスコアを、バリマックス回転を用いた因子分析の対象とし、その後、測定不変性分析を行った。妥当性を評価するため、Youth Self Report(YSR)を実施した。外来患者群には、現在の抑うつ症状を診断するため、精神疾患簡易構造化面接法を実施した。うつ病発見のパフォーマンスを評価し、うつ病検出のカットオフ値を設定するため、ROC解析を実施した。
主な結果は以下のとおり。
・CDI-Jは、一貫して信頼性が高かった(Cronbach α:0.86、平均項目間相関:0.16)。
・再試験の信頼性は、非常に高かった(平均間隔18日:y=0.59、p<0.05)。
・両群に対して、4因子のソリューションは、適切な一貫性(0.52~0.73)および対応(YSRとのピアソン相関:0.65)を示した。
・ROC解析では、適切なカットオフ値は、23/24であった。
著者らは「CDI-Jは、標準的な診断手順として信頼性が高く、検証済みのツールとして使用可能である」としている。
(鷹野 敦夫)