糖尿病治療薬メトホルミンの抗がん剤としての研究は世界的潮流となっているようだ。メキシコ・Instituto Nacional de CancerologiaのOscar Arrieta氏らは非盲検無作為化第II相臨床試験を行い、EGFR-TKI標準治療へのメトホルミン併用投与が、進行肺腺がん患者の無増悪生存期間(PFS)を有意に改善することを示した。これまで前臨床および後ろ向き研究で、メトホルミンが肺がんを含むさまざまな腫瘍の予後を改善することが示され、とくにEGFR-TKIとの相乗作用に関するエビデンスが蓄積されていた。JAMA Oncology誌オンライン版2019年9月5日号掲載の報告。
肺腺がんのPFSがメトホルミン併用群で優位に延長
研究グループは、進行肺腺がん患者のPFSをEGFR-TKI単独療法とメトホルミン・EGFR-TKI併用療法を比較する非盲検無作為化第II相臨床試験を行った。
対象は、18歳以上の
EGFR変異陽性StageIIIB/IV肺腺がん患者で、メトホルミン(500mg 1日2回)+EGFR-TKI(標準用量のエルロチニブ、アファチニブまたはゲフィチニブ)群またはEGFR-TKI単独群に無作為に割り付け、忍容できない毒性発現または同意撤回まで投与した。
主要評価項目はintent-to-treat集団におけるPFS。副次評価項目は客観的奏効率(ORR)、病勢コントロール率(DCR)、全生存期間(OS)および安全性であった。
肺腺がんのPFSをEGFR-TKI単独療法とメトホルミン併用療法で比較した主な結果は以下のとおり。
・2016年3月31日~2017年12月31日に、計139例の
EGFR変異陽性StageIIIB/IV肺腺がん患者(平均年齢59.4歳、女性65.5%)が、EGFR-TKI群(n=70)またはメトホルミン+EGFR-TKI群(n=69)に無作為に割り付けられた。
・PFS中央値は、EGFR-TKI群9.9ヵ月に対し、メトホルミン+EGFR-TKI群13.1ヵ月とメトホルミン+EGFR-TKI群で有意に延長した(HR:0.60、95%CI:0.40~0.94、p=0.03)。
・OS中央値も、メトホルミン併用群で有意に延長した(31.7ヵ月vs.17.5ヵ月、p=0.02)。
著者は「今回の結果は、第III相プラセボ対照試験の実施を支持するものと考えてよいだろう」とまとめている。
(ケアネット)