相同組換え修復遺伝子変異mCRPC、オラパリブの2次治療がPFSを改善(PROfound)/ESMO2019

提供元:ケアネット

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公開日:2019/10/09

 

 BRCA1/2ATM遺伝子(相同組換え修復遺伝子:HRR遺伝子)に変異があり、かつ転移も有する去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)に対する、PARP阻害薬のオラパリブと標準的なホルモン剤との比較試験の結果が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で、米国・Northwestern University Feinberg School of MedicineのMaha Hussain氏により発表された。

 本試験は国際共同オープンラベル第III相試験である。

・対象:1次治療のホルモン剤(エンザルタミドまたはアビラテロン)投与後に病勢進行となったmCRPC患者で、HRR遺伝子のBRCA1/2ATMCDK12CHEK2など15遺伝子のうち1つでも変異の有る患者387例。
・試験群:
[コホートA]HRR遺伝子のうちBRCA1BRCA2ATMに変異を有する患者
[コホートB]他のHRR遺伝子の変異を有する患者
両コホートともオラパリブ300mgx2/日投与。(Ola群)
・対照群:
[コホートA、Bとも]主治医選択によるホルモン剤(エンザルタミドまたはアビラテロン)を投与。(EA群)
・評価項目:
[主要評価項目]コホートAの画像評価による無増悪生存期間(rPFS)判定。
[副次評価項目]コホートA+BのrPFS、コホートAにおける奏効率、疼痛が増悪するまでの期間(TTPP)、全生存期間(OS)であった。
EA群からOla群へのクロスオーバーが認められていた。
各遺伝子の変異は、NGSによる中央測定で決定した。

 主な結果は以下のとおり。

・2017年4月~2018年11月までの登録期間で、コホートAとコホートBに2対1の割合(245例と142例)で割り付けられた。
・コホートAのrPFS中央値はOla群で7.39ヵ月、EA群で3.55ヵ月(ハザード比[HR]:0.34、95%信頼区間[CI]:0.25~0.47、p<0.0001)と有意にOla群が良好であった。
・コホートAの奏効率は、Ola群が33.3%、EA群が2.3%でOR20.86(95%CI:4.18~379.18)、p<0.0001と有意にOla群が高かった。
・同様にコホートAのTTPP中央値は、Ola群が未到達、EA群が9.92ヵ月で、HR0.44(95%CI:0.22~0.91)、p=0.0192とOla群で有意に延長していた。
・さらにコホートAのOS中央値は、中間解析でOla群が18.50ヵ月、EA群が15.11ヵ月、HR0.64(95%CI:0.43~0.97)、p=0.0173だった。中間解析用の事前設定のp値の閾値は0.01であったたため、この時点では有意性は検証できなかった。
・コホートAで病勢進行の見られた患者の80.6%でオラパリブへのクロスオーバーが行われていた。
・コホートA+BのrPFS中央値は、Ola群で5.82ヵ月、EA群で3.52ヵ月、HR0.49(95%CI:0.38~0.63)、p<0.0001とOla群で有意に延長していた。
・Ola群の安全性プロファイルは、他がん種の報告と同様で、新たな事象はみられなかった。

(ケアネット)