遠隔転移のない去勢抵抗性前立腺がん(nmCRPC)に対する、アンドロゲン受容体シグナル伝達阻害薬であるアパルタミドの試験結果が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で、米国・Massachusetts General Hospital Cancer Center and Harvard Medical SchoolのMatthew R. Smith氏より発表された。
本試験(SPARTAN試験)は、日本も参加した国際共同のプラセボコントロールの第III相試験である。過去に、1回目の中間解析が実施され、アパルタミドが有意に無転移生存期間を延長したことが報告されている。今回の報告は2回目の中間解析結果であり、全生存期間(OS)、化学療法施行までの期間(TTC)、安全性についての発表。
・対象:PSA倍加時間が10ヵ月以下のnmCRPC患者1,207例(2cm未満の骨盤内リンパ節への転移は許容)
・試験群:アンドロゲン除去療法(ADT)+アパルタミド240mg/日(APA群)
・対照群:ADT+プラセボ(ADT群)
・評価項目
[主要評価項目]無転移生存期間
[副次評価項目]OS、TTC、無増悪生存期間(PFS)、転移発現までの期間、症状発現までの期間
主な結果は以下のとおり。
・追跡期間中央値41ヵ月であった。
・今回の解析では、OS中央値はAPA群ADT群ともに未到達。ハザード比(HR)は0.75(95%信頼区間[CI]:0.59~0.96)、p=0.0197であった。今回のOSの解析は、最終的なOS解析に必要な427イベントのうち285イベント(67%)の発生時点でのものであり、有意性のp値は0.0121と事前設定されていたため、統計学的な有意差が示せなかった。
・4年OS率はAPA群72.1%、ADT群64.7%であった。
・ADT群の19%(76例)は、アパルタミドのクロスオーバー投与を受けていた。
・TTC中央値は、APA群ADT群ともに未到達であった。そのHRは0.60(95%CI:0.45~0.80)であった。化学療法剤の投与を受けた患者は、APA群で14%、ADT群で20%であった。
・探索的解析のPFS2(割り付けから2次治療までで病勢進行もしくは死亡するまでの期間)中央値はAPA群55.6ヵ月、ADT群43.8ヵ月、HR0.55(95%CI:0.45~0.68)、p<0.0001であった。
・2次治療を受けた患者はAPA群で40%、ADT群で69%、主な2次治療薬はアビラテロンであった。
・Grade3/4の有害事象はAPA群で53.1%、ADT群で36.7%、重篤な有害事象は33.5%と24.9%であり、既報と同様であった。
(ケアネット)