新規ADC薬・sacituzumab-govitecan、尿路上皮がんに有望(TROPHY-U-01)/ESMO2019

提供元:ケアネット

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公開日:2019/10/16

 

 転移を有する尿路上皮がん(mUC)に対する、抗体薬物複合体(ADC)である新規薬剤sacituzumab-govitecan(SG)の試験結果が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で、米国・Weill Cornell MedicineのScott T. Tagawa氏より発表された。

 本試験(TROPHY-U-01)は、オープンラベル・シングルアームの国際共同第II相試験である。本試験薬(SG)は、尿路上皮がんやトリプルネガティブ乳がんなどの腫瘍細胞表面に高発現しているTrop-2タンパクを標的としたヒト化抗体(hRS7)に、トポイソメラーゼ阻害薬であるSN-38を分子レベルで結合させた新規のADCである。

 対象はプラチナ系薬剤と免疫チェックポイント阻害薬(CPI)の前治療歴のあるmUC患者(コホート1)100例、およびプラチナ系薬剤不適応でCPI治療後の病勢進行患者40例(コホート2)。試験群にはSG10mg/kgをday1、8に投与3週間ごと。主要評価項目は奏効率(ORR)、副次評価項目は安全性、奏効期間、無増悪生存期間、全生存期間であった。今回は、コホート1の35例による中間解析結果の報告である。

 主な結果は以下のとおり。

・前治療のライン数の中央値は3(2~6)で、63%の症例に内臓転移があった(肺転移40%、肝転移23%、その他11%)。
・追跡期間中央値4.1ヵ月時点での全体のORRは29%(CR:6%、PR:23%)で、前治療が2ラインのサブグループでは18%。3ライン以上のサブグループでは33%であった。
・内臓転移を有する症例群でも23%のORRが得られ、全症例の74%で何らかの腫瘍縮小効果が得られた。
・安全性は、Grade3/4の好中球減少が55%、白血球減少が29%、発熱性好中球減少が12%、尿路感染が11%、下痢が9%、全身倦怠感6%などであり、3例が治療関連有害事象により投薬中止となっている。また、間質性肺炎や治療関連死はなかった。

(ケアネット)