EGFR遺伝子変異陽性の転移を有する非小細胞肺がん(NSCLC)において、EGFRおよびVEGF両経路を二重ブロックする新たなレジメンが有望であることが示された。これまでに前臨床および臨床データで支持されているが、そのアプローチはまだ広くは用いられていない。近畿大学の中川 和彦氏らは、未治療のEGFR遺伝子変異陽性の転移を有するNSCLC患者を対象に、標準治療であるEGFRチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)エルロチニブへのラムシルマブの併用を、エルロチニブ単剤と比較する「RELAY試験」を行い、ラムシルマブ+エルロチニブ(RELAYレジメン)はプラセボ+エルロチニブと比較して無増悪生存(PFS)期間を有意に延長することを報告した。安全性は、進行肺がんにおける個々の安全性プロファイルと一致していた。著者は「RELAYレジメンは、EGFR遺伝子変異陽性の転移を有するNSCLCに対して、1次治療となりうる新たな治療選択肢である」とまとめている。なお、同試験は現在、長期生存の追跡調査が進行中である。Lancet Oncology誌オンライン版2019年10月4日号掲載の報告。
RELAY試験でラムシルマブ+エルロチニブ併用群でPFSが有意に延長
RELAY試験は、13ヵ国100施設で実施された第III相の国際共同無作為化二重盲検試験。
EGFRエクソン19欠失(ex19del)またはエクソン21(Leu858Arg)置換変異が認められるStageIVのNSCLCで、18歳以上(日本および台湾では20歳以上)、ECOG PSが0または1、中枢神経系への転移がない患者を対象とした。
ラムシルマブ(10mg/kg)+エルロチニブ(150mg/日)併用群またはプラセボ+エルロチニブ群に1対1の割合で無作為に割り付け、2週間隔で投与した。無作為化は、性別、地域、
EGFR変異の型、および
EGFR変異検査法によって層別化した。
主要評価項目は、ITT集団における治験担当医師評価によるPFSとした。安全性は、少なくとも1回の試験薬の投与を受けたすべての患者で評価した。
RELAY試験の主な結果は以下のとおり。
・2016年1月28日~2018年2月1日に449例が登録され、ラムシルマブ+エルロチニブ併用群(224例)、プラセボ+エルロチニブ群(225例)に無作為に割り付けられた。
・追跡期間中央値は、20.7ヵ月であった。
・主要解析において、PFSはラムシルマブ+エルロチニブ併用群が19.4ヵ月であり、プラセボ+エルロチニブ群の12.4ヵ月と比較して有意に延長した(層別化後ハザード比[HR]:0.59、95%CI:0.46~0.76、p<0.0001)。
・Grade3/4の治療関連有害事象は、ラムシルマブ+エルロチニブ併用群で72%(159/221例)、プラセボ+エルロチニブ群で54%(121/225例)に発現した。
・主なGrare3/4の治療関連有害事象は、ラムシルマブ+エルロチニブ併用群では高血圧症(52例[24%]、Grade3のみ)、ざ瘡様皮膚炎(33例[15%])、プラセボ+エルロチニブ群では、ざ瘡様皮膚炎(20例[9%])およびALT上昇(17例[8%])であった。
・重篤な治療関連有害事象の発現率は、ラムシルマブ+エルロチニブ併用群29%(65/221例)、プラセボ+エルロチニブ群21%(47/225例)であった。
(ケアネット)