EGFR変異陽性進行非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療において、EGFR-TKIエルロチニブと抗VEGF-R2抗体ラムシルマブの併用が、エルロチニブ単剤と比較して無増悪生存期間(PFS)を大きく延長した。米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2019)で、第III相RELAY試験の中間解析結果を、近畿大学の中川 和彦氏が発表した。
エルロチニブを含む第1~第2世代TKIによる治療後、30~60%でT790M変異が発現する。第3世代TKIのオシメルチニブはT790M変異に対して有効だが、1次治療でオシメルチニブを投与した場合、その後の治療選択肢は限られる。
RELAY試験は、活性型EGFR変異(Exon19delまたはExon21 L858R)を有し、CNS転移のない、未治療の進行NSCLC患者を対象とした第III相国際共同二重盲検無作為化試験。登録患者はラムシルマブ(10mg/kg、2週ごと投与)+エルロチニブ(150mg/日)群と、プラセボ+エルロチニブ(150mg/日)群に1:1の割合で無作為に割り付けられた。また、患者は性別、地域(東アジア vs.その他)、EGFR変異ステータス(Ex19del vs.L858R)、EGFR変異検査法(Therascreen/Cobas vs.その他)で層別化された。
主要評価項目は治験責任医師の評価による無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目は奏効率(ORR)、奏効持続期間(DoR)、PFS2(無作為化から2度目の病勢進行あるいは全死因死亡のいずれかの発生までの期間)、全生存期間(OS)、血漿T790M変異、安全性などであった。
主な結果は以下のとおり。
・13ヵ国100施設から449例が登録され、ラムシルマブ併用群に224例、プラセボ群に225例が割り付けられた。女性は両群で63%、アジア人は両群で77%、年齢中央値は65歳/64歳、Ex19delは55%/54%であった。
・データベースロックは2019年2月14日、追跡期間中央値は20.7ヵ月。
・主要評価項目であるPFS中央値は、併用群が19.4ヵ月、プラセボ群で12.4ヵ月と、併用群で有意な延長が認められた(ハザード比[HR]:0.591、95%信頼区間[CI]:0.461~0.760、p<0.0001)。
・EGFR変異のステータス別でも、併用群でPFS中央値を有意に延長していた:Ex19delを有する患者で19.6ヵ月 vs. 12.5ヵ月(HR:0.651、95%CI:0.469~0.903)、L858Rを有する患者で19.4ヵ月 vs. 11.2ヵ月(HR:0.618、95%CI:0.437~0.874)。
・ORRは76.3% vs.74.7%と差がみられなかったが、DoR中央値は18.0ヵ月 vs.11.1ヵ月と、併用群で有意に延長した(HR:0.619、95%CI:0.477~0.805、p=0.0003)。
・PFS2中央値は両群ともに未到達、併用群で有意に延長した(HR:0.690、95%CI:0.490~0.972、p=0.0325)。
・中間解析時点でのOS中央値は両群ともに未到達、HR:0.832、95%CI:0.532~1.303、p=0.4209となっている。
・ベースライン時にT790M変異陽性の患者はいなかったが、病勢進行30日後の測定では、併用群43%、プラセボ群47%で発現しており、両群に差はみられなかった(p=0.849)。
・Grade3以上の治療関連有害事象(TRAE)は併用群で72%、プラセボ群で54%の患者に発現した。しかし、TRAEによる治療中止は併用群が13%、プラセボ群が11%と同等であった。
・併用群では高血圧(45% vs.12%)が多く発現したが、Grade4の症例はなかった。また、ALT(43% vs.31%)、AST(42% vs.26%)、出血性イベント(55% vs.26%)も併用群で多い傾向がみられたが、多くがGrade1~2であった。
(ケアネット 遊佐 なつみ)