不安症は、成人の双極性障害への合併や経過に対し影響を及ぼすことが知られている。しかし、小児の双極性障害における不安症の合併に関する研究は限られている。トルコ・コチ大学のHale Yapici Eser氏らは、小児双極性障害と不安症合併に関するメタ解析を実施した。Acta Psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2020年1月3日号の報告。
PRISMAガイドラインの定義に基づき、2019年5月までに公表された関連文献をシステマティックに検索した。不安症の関連する特徴および有病率を抽出した。
主な結果は以下のとおり。
・データ分析に用いた研究は、37件であった。
・不安症の生涯合併率は44.7%であった。各不安症の内訳は以下のとおり。
●パニック症 12.7%
●全般不安症 27.4%
●社交恐怖 20.1%
●分離不安症 26.1%
●強迫症 16.7%
・小児期の研究では、全般不安症と分離不安症の合併率が高かった。
・青年期の研究では、パニック症、強迫症、社交恐怖の合併率が高かった。
・小児双極性障害と各不安症の合併には、発症年齢、性別およびADHD、物質使用障害、反抗挑発症、素行症の合併が異なる影響を及ぼしていた。
著者らは「小児双極性障害は不安症が合併していることが多く、早期発症患者では、不安症リスクが上昇する。合併や経過の生物心理社会的側面についてのさらなる評価が求められる」としている。
(鷹野 敦夫)