小児のCOVID-19、糞便からもウイルス検出

提供元:ケアネット

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公開日:2020/03/09

 

 小児のCOVID-19は通常軽度であるが、臨床プロファイルは不明である。中国・復旦大学附属小児病院のJiehao Cai氏らは、小児症例の疫学的曝露を明らかにするための調査を行ったところ、回復期の呼吸器および糞便検体から長期間にわたってウイルス排出が観察された。また、小児では発症までの期間が6.5日と、成人症例の5.4日よりも長かったことから、小児のCOVID-19ではウイルスの潜伏期間が長い可能性が示唆された。これを踏まえて、研究者らは「これらの疫学的特徴は小児症例を早期に認識して感染予防管理介入を適時に行うための重要な手がかりとなる。ただし、小児のCOVID-19の臨床的特徴と自然史を理解するには、さらなる研究とサーベイランスが必要」としている。Clinical infectious diseases誌オンライン版2020年2月28日号掲載の報告。

 研究者らは2020年1月19日~2月3日の期間、COVID-19と診断された小児10例(上海、海南など武漢以外の小児病院に入院)を対象に、duplex one-step real-time RT-PCR法を行った。すべての患者は発症後2日以内に隔離病棟に入院し、鼻咽頭および咽頭スワブで検体を採取した。 入院中はインフルエンザウイルスA型およびB型の定期的な検査も行った。

 主な結果は以下のとおり。

・10例の年齢は3〜131ヵ月(平均年齢:74ヵ月) だった。
・8例は、武漢へ旅行歴のある2019-nCoVに感染した成人と直接接触、もしくは武漢出身者と接触していた。
・7例は家庭内暴露、2例はエンデミック、1例は武漢からの成人旅行者2名(バス旅行中に軽度の呼吸器症状を発症、武漢帰宅後にCOVID-19と診断された)から感染した。家庭内曝露7例のうち、子供を含む二次感染の症例数範囲は1~4人(平均:2.43人)だった。また、生後3か月の乳児症例の家庭では、両親が防護対策なしで乳児の世話をし、その7日後にCOVID-19に罹患した。
・ 症状は、発熱(8例)、咳(6例)、咽頭痛(4例)、鼻づまり(3例)、くしゃみと鼻漏(2例)がみられ、下痢や呼吸困難はなかった。
・発熱はピーク時37.7~39.2℃、発熱24時間後に消失した。
・胸部レントゲン写真では4例に片側性の斑状影が認められた。
・インフルエンザウイルスA型およびB型はすべて陰性だった。
・全症例は酸素療法を必要とせず、対症療法として肺炎患者の一部は抗生物質による治療を受けた。
・2019-nCoV RNAは、発症後6~22日(平均:12日)に鼻咽頭/咽頭スワブで採取した検体中から検出されなくなった。
・6例に対し発症後3~13日の糞便検体を検査したところ、5例で陽性だった。2月19日の時点で、これら5例は発症後18~30日以内の糞便中に2019-nCoV RNAが検出されており、綿密な追跡調査を行っている。
・5例について、発症2〜3日後の尿と血清を検査したが、すべて陰性だった。

(ケアネット 土井 舞子)