不眠症や睡眠薬使用に関連する交通事故のリスクおよび、これらのリスク因子が性別や年齢によってどのような影響を受けるか、カナダ・ラヴァル大学のCharles M. Morin氏らが調査と検討を行った。Sleep誌オンライン版2020年2月29日号の報告。
対象は、不眠症の有無を問わない3,413人の成人(平均年齢:49.0歳、女性の割合:61.5%)。対象者の睡眠パターン、睡眠薬の使用、交通事故について、5年間連続して毎年調査した。
主な結果は以下のとおり。
・交通事故の重大なリスクは、不眠症(HR:1.20、95%CI:1.00~1.45)および日中の倦怠感(HR:1.21、95%CI:1.01~1.47)で認められた。
・不眠症またはその結果として起こる昼間の問題は、報告された交通事故の40%に対し、何らかの影響を及ぼしていることが示唆された。
・睡眠薬の慢性的な使用(HR:1.50、95%CI:1.17~1.91)および定期的な使用(HR:1.58、95%CI:1.16~2.14)は、高い事故リスクと関連していた。同様に、不眠症および日中の過度な眠気を報告した若い女性において関連が認められた。
著者らは「不眠症や睡眠薬の使用は、それらによって残存する昼間の倦怠感や集中力の低下などにより、交通事故の重大リスクと関連している。不眠症や日中の過度な眠気を報告する若い女性では、とくに注意が必要であることが示唆された」としている。
(鷹野 敦夫)