COVID-19、医師のツイートから行政手続きが効率化 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2020/05/14 医療現場は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の対応と感染対策に追われているが、そこに拍車を掛けているのが非効率な行政手続きだ。新型コロナウイルス感染症は指定感染症となっており、患者が出た場合には感染症法に基づき保健所への届け出が必要となる。このやり取りに使われる「新型コロナウイルス感染症発生届」は医師が所定の用紙を埋めてFAXで送付し、電話で確認するという形式。PCR検査実施を依頼する際にも同様の電話連絡と紙伝票のやり取りが必要となる。 4月23日、川崎市立川崎病院で呼吸器内科医として診療の最前線に立つ田中 希宇人氏は「手書き・FAX」という届け出の非効率性について、自身のTwitterに嘆く投稿をした。「もう止めようよ‥。手書きの発生届‥。こんなん昭和ですよ‥。もう止めようよ‥(一部抜粋)」。 この投稿が反響を呼び、リツイートが繰り返されるうちに河野太郎防衛大臣の目に留まり、大臣が自身のアカウントで反応。Twitter上で担当する副大臣につながり、投稿の翌日には田中氏が改善点についてメールで意見を伝えることとなった。以降、関連閣僚・官僚がデジタル化による医療現場と保健所の負担軽減を言及するようになり、4月30日には「新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム(仮称)」が導入されることが正式に発表された。田中氏の投稿からわずか1週間、システム稼働も5月17日の週を目処に開始されるというスピード感ある展開に、現場の医療者からは一様に歓迎の声が上がった。一連の経緯は海外メディアの注目も集め、5月1日付けのニューヨーク・タイムズはロイター発として「FAXを愛する日本がコロナウイルス報告のオンラインシステムを導入」と紹介した。 田中氏は、今回の経緯について自身のnoteに詳しくまとめている。 https://note.com/cutetanaka/n/nbac8c07a1455 大きく行政を動かすことになった田中氏は、「今回はたまたま河野大臣にツイートを拾われる形となった。本当に偶然だが、医療現場での非効率な古い慣習は『発生届』以外にも数多く存在しており、改善を諦めず、声を上げ続けることが大事だと感じた」と語る。田中氏は以前からTwitterをはじめ、肺がんに関するブログでも医療情報を積極的に発信してきた。そうした発信力と影響力の積み重ねが今回の成果につながった面も大きい。田中氏は「今回、SNSはただの発信/連絡のツールではなく、使い方次第で大きな可能性と将来性があるとわかった」とし、今後も積極的な発信を続けていくという。 (ケアネット 杉崎 真名) 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 COVID-19 関連情報まとめ (2020/02/03) 新型コロナウイルス感染症、気になる他診療所の動向は?-会員医師アンケート 医療一般(2020/03/11) 医師500人の本音、新型コロナのリスク対価はいくらが妥当? 医療一般(2020/04/30) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 2型DMの血糖コントロールなど、予測モデルによる治療最適化で改善/Lancet(2025/03/10) 切除不能進行胃がん1次治療、sugemalimab追加でOS・PFS改善(GEMSTONE-303)/JAMA(2025/03/10) リファンピシン耐性キノロン感性結核に対する経口抗菌薬(解説:寺田教彦氏)(2025/03/10) TTF-1陰性Non-Sq NSCLCに対するアテゾリズマブ+カルボプラチン+nab-パクリタキセル(LOGIK2102)/日本臨床腫瘍学会(2025/03/10) 統合失調症の認知機能改善に対するメトホルミンの有用性(2025/03/10) EBウイルスが腎移植後のリンパ増殖性疾患に関与(2025/03/10) うつ病歴は慢性疾患の発症を早める(2025/03/10) 症状を電子的に報告するシステムががん患者の症状管理やQOLを改善(2025/03/10) 「善玉」コレステロールは緑内障リスクを高める?(2025/03/10) [ あわせて読みたい ] Dr.安部の皮膚科クイズ 上級編(2021/02/10) 希少疾病・難治性疾患特集 2021(2021/02/01) クローズアップ!精神神経 7疾患(2021/01/26) Dr.林の笑劇的救急問答16<上巻> 肺炎編(2021/01/10) Dr.水谷の妊娠・授乳中の処方コンサルト(2020/10/10) 心不全特集まとめインデックス(2020/10/01) 腎性貧血特集まとめインデックス(2020/09/30)