フランス・Sorbonne University and Saint-Antoine HospitalのThierry Andre氏は、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)またはDNA修復欠損(dMMR)の進行大腸がん患者に対する1次治療としてペムブロリズマブ単剤療法と化学療法を比較した無作為化非盲検第III相試験であるKEYNOTE-177試験の結果を米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で発表。化学療法と比較してペムブロリズマブ単剤が無増悪生存期間(PFS)を統計学的に有意に改善すると報告した。
MSI-HまたはdMMRを有する大腸がん患者は、大腸がん患者の約10~15%と言われており、従来の化学療法では予後は非常に不良だった。
・対象:未治療のMSI-HまたはdMMRを有するStageⅣの進行大腸がん患者、PS 0~1、307例
・試験群:ペムブロリズマブ 200mg単剤、3週ごと1サイクル、最大35サイクル投与(153例)
・対照群:標準化学療法(mFOLFOX6療法あるいはFOLFIRI療法±ベバシズマブ/セツキシマブ)(154例)
・評価項目:
[主要評価項目]盲検下独立中央画像判定機関(BICR)評価によるPFS、全生存期間(OS)
[副次評価項目]奏効率(ORR)
主な結果は以下のとおり。
・PFS中央値はペムブロリズマブ群が16.5ヵ月(95%信頼区間[CI]:5.4~32.4)、化学療法群が8.2ヵ月(95%CI:6.1~10.2)であった(ハザード比[HR]:0.60、95%CI:0.45~0.80、p=0.0002)。
・ORRはペムブロリズマブ群が43.8%、化学療法群が33.1%であった(p=0.0275)。
・奏効期間(DoR)中央値はペムブロリズマブ群が未到達(2.3~41.4ヵ月)、化学療法群が10.6ヵ月(2.8~37.5ヵ月)であった。
・有害事象(AE)発現率はペムブロリズマブ群が97%、化学療法群が99%、Grade3以上のAE発現率はペムブロリズマブ群が22%、化学療法群が66%であった。
・免疫関連AE発現率はペムブロリズマブ群が31%、化学療法群が13%、Grade3以上の免疫関連AE発現率はペムブロリズマブ群が9%、化学療法群が2%であった。
今回の結果を受けてAndre氏は「ペムブロリズマブはMSI-HまたはdMMRの進行大腸がん患者に対する1次治療の新たな標準治療とすべきである」と結論付けた。
(ケアネット)