ノボノルディスクファーマは、セマグルチド2.4mgの第III相試験STEP2、STEP3においてプラセボ群と比較し、有意な体重減少を示し、臨床試験プログラムを完了したと6月17日に発表した。
本製剤は、ヒトグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)ホルモンのアナログ製剤で、空腹感を軽減し、満腹感を高めることで食事量を減らし、カロリー摂取量を減らすことを助け、体重減少を促す働きをもつ。なお、本製剤および効能・効果は、日本を含めて現在開発中であり、未承認の製剤である。
肥満の2型糖尿病患者を対象にしたSTEP2試験
STEP2は68週間の無作為割り付け、二重盲検、多施設共同、プラセボ対照試験。本試験では、セマグルチド2.4mgを週1回、68週間にわたって皮下投与した際のプラセボおよびセマグルチド1.0mg週1回皮下投与に対する有効性および安全性を検討した。対象者は、合併症を伴う肥満または過体重の2型糖尿病の成人1,210例を対象に、生活習慣の介入を行った上で実施した。
無作為割り付けされた全例において、セマグルチド2.4mgの皮下投与による68週間の治療群では、プラセボ群およびセマグルチド1.0mgの皮下投与群と比較して統計的に有意に優れた体重減少が示された。セマグルチド2.4mgの皮下投与群では、ベースラインにおける平均体重99.8kgから9.6%の体重減少が達成されたのに対し、プラセボ群における体重減少は3.4%、セマグルチド1.0mgの皮下投与群における体重減少は7.0%だった。さらに、セマグルチド2.4mgの皮下投与群の68.8%が68週後に5%以上の体重減少に達したのに対し、プラセボ群では28.5%だった。
また、計画書の規定通り行われた場合の治療効果を評価したところ、セマグルチド2.4mgの皮下投与群では、68週後に10.6%の体重減少が認められたのに対し、プラセボ群では3.1%、セマグルチド1.0mgの皮下投与群では7.5%の体重減少が認められた。68週後に5%以上の体重減少が認められたのは、セマグルチド2.4mgの皮下投与群で73.2%であったのに対し、プラセボ群では27.6%だった。以上で本試験では、両主要評価項目を達成した。
頻回行動管理療法を併用した肥満患者を対象にしたSTEP3試験
STEP3は68週間の無作為割り付け、二重盲検、多施設共同、プラセボ対照試験。対象者は、合併症を伴う肥満または過体重の成人611例を対象に、セマグルチド2.4mgを週1回、68週間にわたって皮下投与した際のプラセボに対する効果を比較した。両治療は、毎週の行動サポート、栄養士によるカウンセリング、カロリー摂取を抑える食事療法などで定義される頻回行動管理療法と併用して行われた。
無作為割り付けされた全例において、セマグルチド2.4mgの皮下投与に頻回行動管理療法を併用した治療群では、プラセボに頻回行動管理療法を併用した治療群と比較し統計的に有意に優れた体重減少が示された。セマグルチド2.4mgの皮下投与に頻回行動管理療法を併用した68週間の治療群では、ベースラインにおける平均体重105.8kgから16.0%の体重減少が達成されたのに対し、プラセボに頻回行動管理療法を併用した治療群における体重減少は5.7%だった。さらに、セマグルチド2.4mgの皮下投与に頻回行動管理療法を併用した治療群の86.6%が68週後に5%以上の体重減少を達成したのに対し、プラセボに頻回行動管理療法を併用した治療群では47.6%だった。
また、計画書の規定通りに治験が行われた場合の治療効果を評価したところ、セマグルチド2.4mgの皮下投与に頻回行動管理療法を併用した治療群では17.6%の体重減少が認められたのに対し、プラセボに頻回行動管理療法を併用した治療群では5.0%の体重減少が認められた。5%以上の体重減少が認められたのは、セマグルチド2.4mgの皮下投与に頻回行動管理療法を併用した治療群で89.8%であったの対し、プラセボに頻回行動管理療法を併用した治療群では50.0%だった。以上から本試験でも、両主要評価項目を達成した。
安全性につきSTEP2/STEP3試験にあってセマグルチド2.4mgは、これまでの試験と同様、安全かつ忍容性が良好なプロファイルを有すると考えられた。セマグルチド2.4mg皮下投与による主な有害事象は消化器症状で、ほとんどの事象は軽度または中等度で時間の経過とともに消失した。
(ケアネット 稲川 進)