COVID-19入院患者にバリシチニブ治験へ/リリー

提供元:ケアネット

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公開日:2020/07/02

 

 米国・イーライリリー・アンド・カンパニーは、成人の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)入院患者を対象に、インサイト(Incyte)社からライセンス供与されている経口JAK1/JAK2阻害剤バリシチニブの有効性および安全性を評価する無作為化二重盲検プラセボ対照第III相臨床試験に、最初の患者が組み入れられたことを6月15日に発表した。

試験の概要

 本試験には400人の患者が組み入れられ、米国、欧州およびラテンアメリカで実施される予定。なお、患者はSARS-CoV-2感染により入院し、試験組み入れ時に、少なくとも1種類の炎症マーカーの上昇があるが侵襲的機械換気(気管挿管による人工呼吸)を必要としない患者が対象となる。

 本臨床試験の主要評価項目は、プラセボ投与群(基礎療法のみ)との比較における、バリシチニブ4mg 1日1回投与群(基礎療法と併用)の投与開始から28日目までに死亡もしくは非侵襲的換気/高流量酸素または侵襲的機械換気(気管挿管による人工呼吸)を必要とした患者割合。本試験で患者は14日間または退院するまでバリシチニブまたはプラセボの投与を受ける。重要な副次的評価項目としては、治験薬投与後28日目までの期間における、複数の異なる時点で臨床的改善を示した患者割合、回復までの期間、入院期間、人工呼吸器を使用しない日数および死亡率が含まれる。

 本試験の意義について、COVID-19では、疾患重症度は高度の炎症と関連している可能性があり、バリシチニブはJAK1およびJAK2を阻害することで、この感染症の合併症と関連するサイトカインストームを軽減する可能性があるという仮説が立てられている。また、バリシチニブは、ウイルスの増殖を促進する宿主細胞由来タンパク質を阻害し、感染細胞内のウイルス増殖を抑制する役割を担っている可能性があるという。

 同社では、「この無作為化比較試験は、バリシチニブのCOVID-19治療薬としての可能性を解明する重要な一歩」と位置付けている。

バリシチニブは関節リウマチ治療薬としてわが国で適応

 バリシチニブ(商品名:オルミエント)は、中等度から高度疾患活動性の成人関節リウマチの治療薬として70ヵ国で承認され、使用されている。わが国では「既存治療で効果不十分な関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)」を適応症として承認されている1日1回経口投与のJAK阻害剤。

(ケアネット 稲川 進)