EGFR陽性肺がんに対するゲフィチニブのアジュバント(CTONG1104試験)/ASCO2020

提供元:ケアネット

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公開日:2020/06/26

 

 病理病期II~IIIAで、完全切除を受けたEGFR変異陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対する術後療法としての、標準的なプラチナ併用化学療法とゲフィチニブの比較試験の全生存期間(OS)に関する報告が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で中国・Guangdong Lung Cancer InstituteのYi-Long Wu氏より発表された。

 本試験は中国国内で実施された多施設共同オープンラベルの第III相無作為化比較試験であり、無病生存期間(主要評価項目)の有意な改善に関する報告は2017年のASCOで既になされている。今回の発表はOSの最終解析報告である。

・対象:病理病期II~IIIA(N1-N2)で完全切除を受けたEGFR変異陽性のNSCLC症例
・試験群:ゲフィチニブ250mg/日 2年間(Gef群)
・対照群:ビノレルビン25mg/m2(day1、day8)+シスプラチン75/m2(day1)3週ごと4サイクル(VP群)
・評価項目:
[主要評価項目]無病生存期間(DFS)
[副次評価項目] OS、5年OS率、3年および5年DFS率、安全性、QOLなど

 主な結果は以下のとおり。

・2011年9月〜2014年4月にGef群111例、VP群111例の計222例が登録された(ITT集団)。そのうちGef群106例、VP群87例が薬剤投与を受けた(per protocol[PP]集団)。
・データカットオフ時(2020年4月)の追跡期間中央値は80.0ヵ月であった。
・ITT集団、PP集団共に両群間に患者背景の偏りはなかった。
・ITT集団におけるOS中央値は、Gef群75.5ヵ月、VP群62.8ヵ月で、ハザード比(HR)は0.92(95%CI:0.62~1.36)、p=0.674であった。5年時OS率はGef群53.2%、VP群51.2%であった。PP集団におけるOS中央値、5年時OS率も、ほぼ同様の数値であった。
・年齢、性別、リンパ節転移状況などのサブグループ解析においても、両群間に有意な差はなかった。
・ITT集団における3年時DFSはGef群39.6%、VP群32.5%、5年時DFSはGef群22.6%、VP群23.2%であった。また、PP集団における3年時DFSおよび5年時DFS率もほぼ同様であった。
・ゲフィチニブの服用期間別にOSをみた事後解析では、18ヵ月以上のゲフィチニブの内服がある集団では、そのOS中央値は未到達、18ヵ月未満のゲフィチニブの内服集団では、OS中央値は35.7ヵ月でHR0.38(95%CI:0.22~0.66)、p<0.001であった。

 最後に演者は「本試験では、OSの統計学的に明確な有意差は出なかったが、18ヵ月以上のゲフィチニブ投与、再発後のTKI治療などを考え合わせると、ゲフィチニブの術後療法は有用な治療選択肢の一つとして考慮すべきと考える」と述べている。

(ケアネット)

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