高齢者の認知症発症に対する修正可能なリスク因子について、中国・蘇州大学のJing-Hong Liang氏らが、システマティックレビューおよびベイジアン・ネットワークメタ解析を実施した。Journal of the American Medical Directors Association誌オンライン版2020年6月17日号の報告。
複数の電子データベースより、2019年5月1日までのプロスペクティブコホート研究を網羅的かつ包括的に検索した。認知症でない参加者は、50歳以上とした。ベイジアン・ネットワークメタ解析を行うため、必要なデータを適格研究より抽出した。
主な結果は以下のとおり。
・43件のコホート研究より27万7,294例が抽出された。
・抗酸化物質を除く、以下の定義されたリスク因子は、すべての原因による認知症発症リスクの低下と関連していた。
●睡眠障害なし(オッズ比[OR]:0.43、95%確信区間[CrI]:0.24~0.62)
●教育水準の高さ(OR:0.50、95%CrI:0.34~0.66)
●糖尿病の既往歴なし(OR:0.57、95%CrI:0.36~0.78)
●非肥満(OR:0.61、95%CrI:0.39~0.83)
●喫煙歴なし(OR:0.62、95%CrI:0.45~0.79)
●家族との同居(OR:0.67、95%CrI:0.45~0.89)
●運動の実施(OR:0.73、95%CrI:0.46~0.94)
●禁酒(OR:0.78、95%CrI:0.56~0.99)
●高血圧症の既往歴なし(OR:0.80、95%CrI:0.65~0.96)
著者らは「修正可能な身体的およびライフスタイル因子が、すべての原因による認知症の強力な予測因子であることが示唆された」としている。
(鷹野 敦夫)