子供がCOVID-19に罹患した場合、一般的には成人に比べて比較的軽度の症状を示す。米国・イリノイ州シカゴAnn & Robert H. Lurie Children's HospitalのTaylor Heald-Sargent氏らが、軽~中等症のCOVID-19患者におけるウイルス量を年齢との相関で調べたところ、5歳未満の小児では症状が軽くてもウイルス保有量が多く、とくに上気道から検出されたSARS-CoV-2は成人の10~100倍にも相当することがわかった。JAMA Pediatrics誌オンライン版2020年7月30日号のリサーチレターに掲載。
本研究では、2020年3月23日~4月27日の期間、シカゴの3次医療機関においてCOVID-19の症状発症から1週間以内の入院および外来、救急部門、ドライブスルーで収集された145例の鼻咽頭スワブから検体を採取し、PCR検査を実施。cycle threshold(Ct)値を記録し、SARS-CoV-2 RNAウイルス量を評価した。
主な結果は以下のとおり。
・患者はいずれも軽~中等症で、5歳未満が46例、5~17歳が51例、18~65歳が48例。いずれも発症から1週間以内に検体を採取した。
・5~17歳のグループのCt値は、18~65歳のグループとほぼ同等であった(中央値[四分位範囲]:11.1[6.3~15.7] vs. 11.1[6.9~17.5])。
・一方、5歳未満のグループのCt値は有意に低かった(同:6.5[4.8~12.0])。
・5歳未満の小児とその他2つのグループのCt値の差異により、小児においては、とくに上気道のSARS-CoV-2が約10~100倍多いことが示唆される。
著者らは、本研究で明らかになったのはあくまで小児における高いウイルス核酸の検出量であると断っているが、これまでのSARS-CoV-2の研究では、より高い核酸レベルと感染力のあるウイルスの培養能力との相関が報告されている。このため著者らは、公衆衛生対策を進めるうえで小児の感染および拡散リスクを理解することが重要であると述べている。
(ケアネット 鄭 優子)